免疫療法は、身体の免疫力を利用してがん細胞を排除する治療法です
身体の免疫力について少しお話したいと思います。免疫とはからだの自己防衛機構です。血液中の白血球などが中心的な役割を果たします。特に免疫系の中心となるT細胞(Tリンパ球)は、がん細胞を排除して正常細胞にに修復する働きがあります。
しかし、がん細胞は免疫系から逃避し生き延びるために、免疫抑制機能を活用して本来のT細胞の働きを阻害する能力を獲得します。正常細胞に修復する機能が失われると、がん化するきっかけになります。
がん抑制遺伝子との関連もありますが要因さまざまで イニシエーター (正常な細胞のがん化を引き起こす原因となる発がん物質)とプロモーター (がん細胞を促進する物質や要因)の関連もあります。
がん免疫療法について
がん免疫療法の有効性は立証できていません
免疫とはからだの自己防衛機構
NK(ナチュラルキラー)細胞
リンフォカインを出して抗原抗体反応
免疫チェックポイント阻害剤
オプジーボ、副作用追記を指示
がん免疫治療とは
効果が明らかな免疫療法は限られています
がん免疫治療の考え方
がん免疫療法療の科学的根拠
「西洋医学」「免疫療法」
がんと私達の体内の免疫機構は大きく関わっています。年齢が上がるにつれて罹患する方が増えるのは変異をおこした遺伝子が正常細胞の中に蓄積され変異遺伝子が一定数たまると発がんするメカニズムがあるからです。
生体の免疫系というのは、がん抗原(がん細胞の目印)が発生すると異物として認識し抑制する働きをしています。これらを免疫監視機構と呼んでいます。
免疫療法でも、効果が証明されて保険適用になっている免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)と さまざまな療法を含む「広義」の免疫療法もあります。
がん免疫療法の有効性は立証できていません
広義の「がん免疫療法」は、保険適用にはなっていません
ナチュラルキラー細胞、樹状細胞ワクチン療法やペプチドワクチン療法などあります。
ナチュラルキラー細胞(がん細胞を認識して排除する性質があります)
樹状細胞(がん細胞の特徴を記憶し、T細胞に伝える免疫細胞)
ペプチド(細胞傷害性Tリンパ球が認識するがん抗原遺伝子)
保険適用にはなっていない、自由診療では「副作用の心配が少ない」「がん細胞のみ攻撃する」ので手術、抗がん剤、放射線療法の標準治療と組み合わせて相乗効果を狙う療法ともありますが、有用性は証明されていません。治療に関するエビデンスレベルもレベル4(観察研究)の段階です。
明確な薬理作用の効果を証明することは公的な第三者が厳密なルールに沿って臨床試験を行い、その作用の実証をしなければなりません。
2013年5月21日に東北大学生体防御学分野より「ドレス現象によるナチュラルキラー(NK)細胞の細胞死機構」の研究論文が発表されています。
ドレス現象によるNK細胞の細胞死機構の発見 (東北大学東北大学加齢医学研究所 生体防御学分野)
人工的に活性化したNK細胞を体内に入れるのが「がん免疫療法」です。 活性化したNK細胞は腫瘍組織に入り込みがん細胞上にある「NKG2DL」分子を目印にがん細胞を排除しょうとしますが、 その際、がん細胞から「NKG2DL」分子を獲得し変化してしまい逆に、今度は、通常のNK細胞の標的となってしまいます。
急速なNK細胞死(NK細胞のドレス現象)がおこることが明らかになっております。NK細胞を活性化して増殖させて体内に入れても、NK細胞のドレス現象によりNK細胞は以前より減少してしまいます。急速なNK細胞死が観察されており、免疫療法で効果をあげることができない要因となっています。
がんの免疫療法においてNK細胞を人工的に活性化して増殖させても、ドレス現象によりNK細胞は減少し効果が減弱してしまうことがわかりました。 2023年現代ドレス現象をコントロールする方法は発見されておりません。
標準治療においては保険適用にはなっていませんので、全額治療費を支払う自由診療のクリニックでの受診になります。
免疫とはからだの自己防衛機構です
免疫(白血球などの免疫監視機構)と細胞のがん化の関係生体の免疫系によってがんの発生を未然に防いでいます。免疫力が低下するとがん細胞が発生することも知られています。
最近ではモノクローナル抗体を使った研究がおこなわれ、現にモノクローナル抗体の分子標的薬もあります。それはがん細胞には特有の抗原があるからです。がん細胞には本来、生体にとっては異物ですからリンパ球ががん細胞を抑制するのですが、その抑制能力が弱くなると、がん細胞を抑制することができなくなります。
生体の防衛機能の主体はがんを異物と見分けるキラーT細胞とがんを抑制するNK(ナチュラルキラー)細胞です。これらを活性化してがん細胞の壊死を誘発するのが通常よくいわれているNK活性療法です。
NK(ナチュラルキラー)細胞とは
NK細胞の働きとしてはウィルス感染の防御と腫瘍細胞に対する抑制があげられます。免疫機能として作用するNK細胞は自分の体を細菌、異物から守ります。また細胞が、がん化しないようにする働きがあります。
がん細胞を抑制する免疫細胞にはキラーT細胞、NK(ナチュナルキラー)細胞マクロファージなどがあります。NK細胞は比較的広範な種類のがん細胞を抑制します。マクロファージは活性化因子により様々な腫瘍壊死因子でがん細胞を抑制します。
NK細胞はリンパ球の一種ですが大きな特徴があります。複雑な情報伝達がなくても、独自の判断でがん細胞を見つけ出し抑制することができるのです。同じリンパ球のTリンパ球やBリンパ球よりも特にガン細胞に対する反応が敏感でがん細胞を発見するとすぐに結合しがん細胞の中にグラニールと呼ばれる毒素を入れます。
この毒素が入ってくるとがん細胞は5分以内に死滅します。がん細胞のレセプター(受容体)にNK細胞のレセプター(受容体)が結合することがとても重要なことですが、逆にNK細胞の数が多くても、その活性が低ければ逆にがん細胞に取り込まれてしまいます。NK細胞の活性値が上昇している状態であればがん細胞の異常な増殖はかなり抑えられます。
全身に約50億個以上存在し、細胞の異常がないかを見張ってしています。40歳でピークを迎え、40歳以降は徐々に低下していきます。自律神経系の働きに影響され、ストレスを受け交感神経系が優位になるとNK細胞の活性度が減少する可能性はあります。
食事に関しては良質のたんぱく質と緑黄色野菜をきちんと食べ栄養バランスに気をつけることが大切です。生野菜や果物の中にはビタミン、ミネラルが多くNK細胞の活性を高めます。日頃からNK細胞を活性化するように努め免疫力を高めておくことが大切です。免疫療法とはこのNK細胞の活性を直接的、間接的に高める治療です。ほとんど広義の免疫療法の原点です。
しかし、それはがんの発症前までのことで、発症後の有用性は認められていません。
リンフォカインを出して抗原抗体反応を起こす
抗原抗体反応というのは体内に細菌やウイルスなどの異物が侵入してきたとき、それを免疫細胞が異物として認識し無毒化する反応です。
例えばインフルエンザ、いま感染拡大している新型インフルエンザも同じですがインフルエンザのウイルス(抗原)に感染するとBリンパ球(免疫細胞)が免疫グロブリン(抗体)を作ってインフルエンザウイルスの抗原を異物として認識し、付着し、無毒化します。
その様子はよくカギと鍵穴に例えられます。鍵穴は特定のカギにしか反応しません。特定のインフルエンザウイルスに反応する抗体は、特定のインフルエンザウイルスにしか反応しません。
この免疫システムによって一度感染したウイルスに対しては、免疫細胞が即座に異物と認識して無毒化します。もし感染しても症状が出るほどウイルスが増殖することはなく身体を防御します。
ところがインフルエンザに一度かかっても再びかかることがあります。これはどういうことかというとインフルエンザウイルスは毎年少しずつ形を変えて流行しますから少しでも形が変わった場合「抗原抗体反応」ができないのです。
がん細胞を消滅させる免疫細胞の主役はTリンパ球とBリンパ球です。二つのリンパ球は骨髄で生まれますがBリンパ球はそのままガン細胞のところに行きTリンパ球はいったん胸腺で何が正常か何が異物かを識別する能力をつけます。
Tリンパ球は3種類に分けられます。ヘルパーT細胞・キラーT細胞・サブレッサーT細胞です。ヘルパーT細胞から放出されるインターロイキン2でキラーT細胞は活性化されがん細胞に関してはリンホカイン(生体物質)を出してがん細胞を消滅させます。
広義の免疫療法は、理想的ながん治療とか最先端のがん治療などと吹聴されていますが、がんの治療法の第一選択になっていません。NK細胞療法(NK細胞の活性化)、樹状細胞療法(人工ペプチド)などがあります。
樹状細胞ワクチン療法は、生体内で、樹状細胞が、がん細胞から、がんの細胞の目印を取り込んで、それをリンパ球に伝えてがん細胞を排除する免疫システムを利用するとされています。
作用機序を調べるとビタミンCの大量投与なども免疫療法に含まれます。免疫力をあげれば、がん細胞を抑制できるということになっていますが、免疫力をあげてもがん細胞はなくなりません。
ウイルスや細菌と違ってがん化した細胞は自己の細胞です。自分の免疫システムが、がん細胞を抑制できなかったために腫瘍ができるのです。あとから人工的に血液から採取し、培養・増殖させさせて免疫力をあげても意味はありません。
免疫チェックポイント阻害剤 自由診療の免疫療法とは違います
新たな免疫療法として注目されている免疫チェックポイント阻害剤があります。がん細胞は体内の免疫細胞に標的にされないように免疫機能を抑制する特殊な能力を持っていることがゲノム解析でわかってました。がん細胞は、免疫系から逃避するため抗がん剤にも反応しなくなります。
これまでの免疫療法は免疫機能を高める方法が中心でしたが、免疫チェックポイント阻害剤はがん細胞の免疫機能からの抑制能力を解除する仕組みで、覚醒した免疫細胞によってがん細胞の増殖を抑えます。
米国、日本での臨床試験(治験)ではがん細胞の増殖を抑えるだけでなく、PDL-1陽性が前提となりますが、進行がんの患者さんの生存率が飛躍的に伸び、がん細胞がほぼ消えて治癒に近い長期生存例も出ている画期的な薬です。しかし、副作用の問題もあります。また効果が期待できる率は15%と限られます。
どのような症例の患者さんに効果があるのか遺伝子レベルで研究が進められています。
最初は、オプジーボ・ヤーボイの保険適用は、悪性黒色腫(メラノーマ)と非小細胞肺がん、腎細胞がんの治療だけでしたが現代は、保険適用の範囲が拡大されています。遺伝子検査が普通に行われるようになったことからオプジーボ+ヤーボイ(免疫チェックポイント阻害薬)併用療法も可能になりました。添付文書情報には「緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること」とあります。
「癌取扱い規約」に重みを置くことをしない医療機関は自由診療です。統計的な医療に基づいた科学的根拠(エビデンス)、オーダーメイド医療)、 日本癌治療学会で作成している臓器別、がん診療ガイドライン(国内の医療者向けに各学会等で作成された、がん診療に関する規約)を無視しての治療は危険です。
JCOG Japan(日本臨床腫瘍研究グループ)は、国立がん研究センター中央病院臨床研究支援部門が研究を直接支援する研究班の集合体があります。 各領域のがんに対する標準治療の確立と進歩を目的として様々な研究活動(多施設共同臨床試験)を行っています。
「臨床試験」とは、新しい薬剤の候補や治療法の有効性や安全性を調べるために、抗がん剤の場合は患者さんにご協力いただき、 それが本当に治療法として適しているかどう科学的に調べるための研究の方法が臨床試験です。その積み重ねが標準治療になります。
JCOGで実施中の先進医療試験一覧
免疫チェックポイント阻害剤はオプジーボ、ヤーボイ、キイトルーダ、などです。すでに日本でも承認され一部のがん治療に使用されています。これらは直接がん細胞を叩くのではなく、がん細胞を排除する「Tリンパ球」に抵抗する分子の働きを阻害します。これによって、Tリンパ球は、がん細胞に対する本来の抵抗力を取り戻し、他の免疫システムも抗腫瘍効果を発揮します。
大学病院、がん専門病院での臨床試験の対象は少なく限られています。不均一性のあるがん細胞の標的抗原(目印)を同定すること、多様性があり変異する特異的遺伝子変異抗原に対するがん免疫治療法は確立されていません。新しいがん免疫療法の開発を目指している段階です。
免疫チェックポイント阻害剤の適応になる患者さんは限られますので、新しいがん免疫療法の開発が期待されています。一部ですが医師主導治験も行なっている施設もあります。しかし、臨床試験(治験)の募集対象や参加条件が限られております。公立の大学、病院名を出して敷地内にセンター施設もあるとこもありますが直接の関連性の無い施設もあります。患者さんの活性化させる血液も外部の業者に委託しているとこもあり、現職の医師は希でほとんどはそこの医療施設を退役された医師です。そこの医師から紹介されて、業者と契約して自由診療の療法になるケースもありました。これまで、免疫療法は常に懐疑的な目で捉えられてきた側面もありました。
標準治療(癌取り扱い規約)には、こういった免疫療法は入っていません。細胞加工施設として厚生省から認定を受けている施設は一部で、臨床試験の初期段階です。
オプジーボ、副作用追記を指示 オプジーボの特許をめぐり訴訟
厚生労働省は2016年10月18日、がん治療薬「オプジーボ」を投与された60代の患者1人が、副作用とみられる心筋炎を発症し死亡したとして、製造元の小野薬品工業に、薬の添付文書に重大な副作用として追記するよう指示しました。
厚労省などによると、2014年7月の薬の承認以降、死亡した1人を含む3人が心筋炎を発症しました。血小板が減り出血しやすくなる「免疫性血小板減少性紫斑病」や「横紋筋融解症」を発症した患者さんもおり、これらも重大な副作用とされました。
オプジーボの投与を終えた後、14人が糖尿病などを発症したことも判明。投与終了後の副作用についても注意喚起を求めました。オプジーボは、特定のがんに優れた効果がありますが、極めて高額な薬剤です。
いつものことですが夢の薬剤で終わらないでほしいと思います。
がん免疫治療薬「オプジーボ」の特許をめぐり、ノーベル医学生理学賞受賞者の京都大特別教授、本庶佑(ほんじょうたすく)が5日、薬を製造販売する小野薬品工業に対し、特許使用料の配分226億円余りを求める訴訟を2020年6月中旬に大阪地裁に起こす会見がありました。
「キイトルーダ」に特許侵害があるとして提訴。17年、メルク社が特許使用料を支払う内容で和解が成立した経緯がありました。それにしてもノーベル医学生理学賞受賞者が特許使用料のことで訴訟とは。本庶氏、製薬会社も、患者さんのことを一番に考えないといけないのに。なにか日本の薬事行政がおかしいです。
がん免疫療法とは
抗原抗体反応というのは体内に細菌やウイルスなどの異物が侵入してきたとき、それを免疫細胞が異物として認識し無毒化する反応です。
体内の免疫細胞を使って自己の免疫力を上げてがんの縮小を期待する療法です。1960年代後半から行われてきました。大学病院などでは一部ですが、数年前に患者さんの自己負担で免疫療法をとりいれた療法が行われたときもありましたが、現在は免疫療法の選択はありません。 この免疫療法に対して否定的な考えを持つ医師も少なくありません。
自由診療で行われる広義の免疫療法と保険に適用されている免疫チェックポイント阻害剤を分けて考えましょう。 保険適用になっていない免疫療法は自由診療のクリニックで多く行われています。各学会で作成したガイドラインに沿った標準治療ではありません。
免疫療法は、現在確立されている手術、抗がん剤、放射線治療法以外の第4の療法とまで呼ばれたときもありましたが、がん治療において選択する医療機関はありません。
保険適用ではなく第4の治療法には確立されていません。今の標準的治療で再発あるいは治療方法がなくなった場合に受ける方がほとんどです。全額治療費を支払う自由診療です。
理由としてがん細胞を認識あるいは抑制できなかったリンパ球、NK細胞などの免疫力ではたしてがん細胞を抑制できるのかという問題です。私達の身体の中ではある程度の年齢になるとがん細胞になる前の異形成の細胞が毎日発生しています。
体内の免疫システムが抑制してがん細胞の増殖を抑えているわけですが、その免疫システムをくぐりぬけて増殖してきた数少ないがん細胞ですので、再発した場合や隣接する臓器にまで浸潤している場合は免疫療法などで免疫力をいくら上げたとしてもはたして抑制できるのかということもあります。また、免疫力を高めても一瞬で免疫力は低下します。
免疫監視機構から逃れて成長したがん細胞を排除できるかのエビデンスレベルは、まだ観察研究の段階です。
最近の臨床報告では少数に再発したがんが免疫治療により縮小したり肉眼的に消失した症例はありますが、長期不変状態、無増悪生存期間などを含めて詳細な報告はありませんが、なかなか厳しい状態です。
原発巣が発見された臓器別にがんの名称がついていますが、がんと言っても様々な組織分類があります。肉眼的所見もありますが、正確には細胞診あるいは術後の摘出標本を顕微鏡で診て組織分類されます。組織分類の数は臓器によって違いはありますが多数にわかれています。
同一の療法では説得力がありません
悪性度が高いがんほど細胞が未分化のかたちをしています。増殖する速度もはやいです。たとえば原発巣が乳がんでも胃がんでも自由診療の免疫治療法は一律にほぼ同じ治療をする場合が多いことに矛盾を感じます。がんは全身病ですが少し極端ではないでしょうか。今はゲノム検査を行い個別化医療です。インフォームドコンセントの重要性が問われます。
がん治療で自由診療を認めてしまうことは患者さんに経済的なことも含めて、不利益を与える可能性があります。 がん標準治療・癌取り扱い規約を思い出してほしいです。自由診療で行われている治療は、がんの標準治療ではありません
効果が明らかな免疫療法は限られています
効果が証明されて保険適用になっている免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)と さまざまな療法を含む「広義」の免疫療法があることをご理解ください。 広義の免疫療法は効果が証明されておらず、そのため全額治療費を支払う自由診療です。がん細胞は治療や進行により遺伝子変異してきます。そのため遺伝子情報に基づくがんゲノム医療が必要になってきます。これまでの研究では、「遺伝子検査」も行わないで同一の療法での免疫療法では有効性が認められていません。
効果が明らかにされている免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤、インターロイキン2などの一部の薬剤に限られています。また治療効果が認められるがんの種類もまだ限られています。
日本では、何の届け出もなく、自由診療として医師であれば誰でも、自由に患者さんに投与されています。
一旦自由診療に走った患者さんを病院側も再度受け入れるのには抵抗があるのか、最後は難民状態におかれる方もいます。
がん免疫療法の考え方
「免疫力をあげればがんは治る」この免疫至上主義が、がん免疫療法における誤解があります免疫力は上げようと思っても上げることが出来るものではなく、免疫力が下がる要因は様々あります。そしてがんがその本性をあらわすのは最後の数ヶ月間です。
それまではどんな治療もある程度の効果があったように見えます。そして人間のがんに対する免疫力、がん抑制遺伝子が働くのは、どの段階までなのか誰もわかりません。
免疫力の働かない理由はがん細胞の行動的な特性にあります。がん巣の増大とともにがん細胞は体内の免疫機能を抑制する特殊な能力があり、がん細胞を修復させ正常な細胞にするか、少しですが、わかってきました。
細胞をがん化させる遺伝子まで特定されてきましたが、このような分子生物学にもとづいた様々な免疫療法や遺伝子治療の研究が今後進むと思われます。がん抑制遺伝子を活性化させようとする研究、治療も現在さかんにおこなわれるようになってきました。
今後ますます基礎(臨床研究)では、がの免疫療法、遺伝子治療の果たす役割は増していくでしょう。しかし実用化までには何十年先になるかわかりません。自由診療のクリニックでは、何十年先になるかわからない療法を、さも実現したような誇大広告で患者さんを集めています。
がん免疫療法の科学的根拠(エビデンス)
自由診療で行われている免疫療法は効果が証明されていません専門領域の医師も標準治療が最優先で、保険適用外の薬剤、統合医療に否定的な見方をしている医師が圧倒的に多いです。「がん免疫療法」も樹状細胞ワクチン療法やペプチドワクチン療法など日本で治験をしていない療法、また「遺伝子治療」など治験の結果も出ていない療法も多数あります。
様々な療法で免疫力をあげても改善するというエビデンスは現在確立されていません。明確な薬理作用の効果を証明することは公的な第三者が厳密なルールに沿って臨床試験を行い、その作用の実証をしなければなりません。
認証されなければ保険制度の適用が日本で開発、製造された薬剤でも他国で開発、製造されても同じことです。免疫療法は様々ありますが、ほとんど保険適用ではなく自由診療です。
また早期といわれる癌の治療に第一選択で用いられることはまずありません。手術、抗がん剤、放射線治療などの治療をうけた後、治療法がなくなり進行してしまった状態で免疫治療などの治療(自由診療)を選択する場合が多いのですが、免疫療法などが一般的に行われている癌の標準的治療より有効であれば早期と言われる段階で使用してもいいと思いますが標準治療では使用されません。
早期の状態なら自由診療で、標準治療以上の有効性があると断定できる医者、業者はいるのでしょうか。高額な医療費にも疑問を覚えますが、明日、手術可能な患者さんにそれでも自由診療で「がん免疫療法」等の治療を勧めるのでしょうか。 一緒に同行して話をした限り、自信を持って「がん免疫療法」等を進める医者はいませんでした。ほとんどはステージが進んで標準治療で積極的な治療ができなくなった患者さんを対象にしています。まだ正確な科学的根拠が解明されていないからです。
免疫療法も発展途上の段階です。今後の研究に期待する分野だと思っていますが、今は、臨床治験もなく受けるのは、安全性・有効性の面でもお進めることはできません。
米国では、未承認治療薬を患者さんに無許可で投与することを厳しく規制しています。未承認薬を患者さんに投与する際には、必ず公的機関に申請をして、臨床試験として行う許可を得なければなりません。
日本の自由診療では、がんに対して保険医の資格がなくても医者であれば、国内で治験の結果も出ていない未承認治療であったとしても一般的な安全性・有効性がなどが評価されていない薬剤、療法であっても、自由に行なっていることです。
がん治療で自由診療を認めてしまうことはとても危険なことだと思います。最近では、抗がん剤の限界もわかり、一概にはいえませんが、早い段階で抗がん剤投与を打ち切る医者も増えてきました。メリット(利益)からデメリット(不利益)になる時点があるのですから、使い分けることは医療者側のよい決断だと思いますが、 患者さんにしてみたらまだ体力もまだあるし、このまま治療を継続しないのは不安がある。 そう思う気持ちは理解できます。
ですがせっかく体力があるうちに、抗がん剤治療を打ち切ったのですが、その隙間を狙う自由診療のクリニックの甘い言葉で待っています。 標準治療では例外はありますが量的に60%以下の抗がん剤の投与はできません。抗がん剤治療を打ち切ったのに低用量抗がん剤(当然副作用は少なくなる)の投与を勧める場合もあります。
その投与の方法に有効性があるなら今、標準治療で副作用に耐え抗がん剤治療を受けている患者さん、あるいは投与している医師は間違った治療をしているのでしょうか。低用量抗がん剤の文献もありますが、標準治療の抗がん剤治療の文献の数に比べたらものの比ではありません。
標準治療から自由診療に移行した患者さんに、○○療法の契約前には実に希望、楽観的な話をしますが、のちに末期の状態に陥った場合「がんの進行、 衰弱が止まらなかった」とか自由診療の医者は話します。三大治療の利点の話もしますが、最終的には実に見事に○○療法に誘導します。
現在の大学病院、専門病院でも治癒が難しい状態の患者さんにも○○療法の方が優れている錯覚を与えます。マニアル、パンフレットは○○療法の関係している業者が作成している場合が多いです。
免疫療法は第4のがん治療として注目されているとか言っていますが、標準治療では当然行なっていません。 免疫療法を行なっていない患者さんは恩恵がないのでしょうか。そんなことはありません。対象にしているのは進行して抗がん剤などの標準治療の限界を迎えた患者さん達が多いです。
早期の状態なら自由診療で、標準治療以上の有効性があると断定できる医者、業者はいるのでしょうか。 高額な医療費にも疑問を覚えますが、明日、手術可能な患者さんにそれでも自由診療で「がん免疫療法」等の治療を進めるのでしょうか。
一緒に同行して話をした限り、自信を持って「がん免疫療法」等を進める医者はいませんでした。ほとんどはステージが進んで標準治療で積極的な治療ができなくなった患者さんを対象にしています。
「西洋医学」「免疫療法」
非常に難しい問題ですが医師が積極的に免疫療法を含めた自由診療を容認しないのは一般的です。重要になるのは、患者さんの心のケアーとその後の病態だと思います。
末期の状態になった患者さんに関しては今の医学では救いようがありません。そこが、がん治療の最大の問題だと思います。今の治療法で改善する可能性が少しでもあるのならば良いのですが、それがその希望さえなくなった場合はどうでしょうか。
ですから一概に自由診療などを否定することもできないことががん治療のむずかしさです。いままで治療を受けていた担当医なり主治医が少しでも患者さんのためになるのならば今までの治療法の延長線上ではなく患者さんが希望するのなら、納得できる自由診療ならメンタルの部分でも、相談にものってあげてほしいです。
免疫療法も30年くらい前から行われてきましたが、現状は当時とあまり変わっていません。見離された患者さんが、危ない自由診療に頼っていくほうがずっと危険だと思います。 少しでも、個々の患者さんに有効な方法を選択してあげてほしいです。
協力的な姿勢で患者さんが自由に治療を受けられる環境をつくることが患者さんのためになるのではないでしょうか。また今の自由診療(免疫療法などの名称がつく療法)は誤解されている面も確かにあります。「身体にやさしい」とか「副作用がない」とか聞こえはよいのですが実態が伴わないと虚しくなります。
自己の免疫力を高めることによってがん細胞を抑制する研究が進むことを切に願っておりますが、実現するに20年後か30年後かわかりません。
「がん免疫治療」も、樹状細胞ワクチン療法やペプチドワクチン療法など多数あり、どのような免疫療法を選択すれば、良いのかわかりません。 また、様々な「がん免疫療法」についても「がん治療 アドバイザー」にお問い合わせください。
がん治療の現状 手術(外科療法)
がん治療の現状 薬物療法(抗がん剤)
がん治療の現状 放射線療法
がん治療の現状 がん治療の難しい理由
がん治療サポート内容 最善のがん治療を受けるために
「がん治療相談」がん治療アドバイザーによるサポート
オピニオン(がん治癒への道)
がん標準治療を選択するとき
「がん標準治療」生存率
がん先進医療(精密医療)
がん免疫療法
がん発生メカニズム
がん再発・転移
がん幹細胞
がん悪液質(あくえきしつ)
がん遺伝子治療
標準治療以上に自由診療の治療成績がよいということではありません
新型コロナウイルの基本知識