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がん治療の現状(化学療法・放射線)

薬物療法に使われる薬は一般的に抗がん薬と言われています。がん巣を縮小させ、がん巣の成長を抑える化学療法薬、がんを大きくするホルモンの働きを抑えるホルモン療法薬、がん細胞の特徴的な分子を抑制させる分子標的治療薬など様々な種類があります。

手術、放射線療法も適応にならない方,、標準療法がなくなった固形がん患者さんは化学療法が第一選択になります。 最近では、腫瘍組織、生検(生体の組織から病変部を採取する方法)などで、遺伝子に変化があるかどうかを調べるゲノム検査(遺伝子検査)も行われています。 「NCCオンコパネル114遺伝子」、「ファンデーションワン324遺伝子」2種類の検査診断薬が承認されています。

がん細胞には変異遺伝子があり、その遺伝子を標的として効果を発揮する分子標的薬が開発されて治療効果を上げてきました。従来のがん薬物療法では、臓器ごろとに薬物療法を実施しておりました。ゲノム検査ができるようになってからは、原発の臓器に関係なく変異遺伝子に着目し治療薬を使用することが一般化しつつあります。 遺伝子やそのタンパクを調べ、抗PD-1抗体である免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボ、キイトルーダの治療も保険適用になります。

【目次】
がん治療の現状(化学療法・放射線)
がん化学療法(抗がん剤)
先進医療試験一覧
化学療法(抗がん剤治療)の種類や、分子標的薬
化学療法のメリットとデメリットのバランス
免疫チェックポイント阻害薬
効果判定基準(奏効率)
抗がん剤の延命効果、副作用
最新の放射線治療
同時放射線化学療法

標準療法がなくなったがん患者さんには新しい薬剤の適応もできるようになりました。 しかし、実際に薬剤の適応になるケースは10人調べて2人あるかどうかです。変異遺伝子が見つかってそれに対応した治療薬剤も十分な種類があるわけではなくまた、臨床試験も少ない現実があります。

がん化学療法(抗がん剤)

がん化学療法のレジメン(投与計画)
がん薬物療法は、抗がん剤の治療効果と安全性をの観点から、投与量、投与順序、投与期間、休薬期間、併用薬などが厳密に規定されています。 抗がん剤は、わずかな投与量などでも重篤な副作用を発症する可能性が高いうえに、支持療法薬も併用されているため投与方法は複雑化しています。

1種類の抗がん剤で治療するより「がん細胞の不均一性」がありますので多剤併用療法のほうが治療効果があります。また同じ副作用を持つ薬剤を組み合わせないようにします。抗がん剤の薬理作用として、少量では効果が得られず、ある程度副作用が出現するところまで、体重あたりの投与量を引き上げないと効果が得られないという特徴があります。そのため、抗がん剤の治療効果を得るには、一定の期間内に一定の投与量が必要になります。そのため副作用がでてきます。

抗がん剤治療がよく効くがんもあれば、ほとんど効かないがんもあります。抗がん剤治療によって、治癒が期待できるがんは白血病や悪性リンパ腫などの血液のがんです。 手術の適用にならなく進行していてもある程度効くがんとは、胃がん、大腸がん、前立腺がんなどは延命効果が期待できます。抗がん剤に対する感受性が低く抗がん剤治療を行っても、スキルス性胃がん、膵臓がんなどは、縮小するのも希です。

患者さんの全身状態をPS(パフォーマンス・ステータス)であらわします。PS3とPS4(しばしば介助が必要で身の回りのこともできない状態)には抗がん剤治療はできません。

抗がん剤は活動の早い細胞を狙います。また、低用量の抗がん剤による治療は、深夜、体の活動がおだやかなときに投与しないと意味がありません。夜間の抗がん剤投与などはクロノテラピー(時間治療)は副作用の面でも優れていますが、もう20年以上前からいわれていたことですが、 ほとんどの病院ではしていません。

がん細胞はもともと体内から生じた細胞だけに、正常細胞との違いは少なく抗がん剤にがん細胞だけに作用にさせることは、現代でも難しいです。また有用性があってもそれが何年間も有用なのか、それもわかりません。

抗がん剤(化学療法)の面では抗がん剤の感受性テスト導入により以前よりも副作用も少なくなってきました。ヒトゲノム計画が完了してどの遺伝子が壊れてがんになった場合にはどの抗がん剤とのかけ合わせが最も有効であるかというデータを基にして、個々に最適な抗がん剤治療もできるようになってきました。

次世代シークエンサーとよばれる高速の解析装置を用いて多数の遺伝子を調べる遺伝子パネル検査も広がりつつあります。 それでも何らかの副作用が出現します。予測できない重篤な副作用が起きてしまう可能性もあります。

抗がん剤を受ける理由は、抗がん剤の主作用(ベネフィット)を重視しているからです。また適切な化学療法によって、多くの患者さんが利益を得ている面は確かにあります。しかし、ある回数以上やってくるうちに副作用が増すばかりで、効果は頭打ちになってしまいます。

抗がん剤治療は全てのがんに「効く」あるいは「有効」と「治る」はおおきな違いがある事や副作用も必ずあるものと考えてほしいです。消極的な考えかもしれませんが、利益と不利益のバランスを考えましょう。

手術などで治療をした結果、ある患者さんの体の中からがん細胞がが完全になくなったかどうかを判定すること自体ができないからです。画像検査、血液検査で腫瘍マーカーをチェックしても限界があります。

術前・術後などCTやMRI、PET検査などで体内のがん巣の状況を何度も検査を行い把握します。手術後の病理検査️利結果ではがん組織、切除断端を丁寧に調べます。がん組織は全て摘出できたと確定診断しても、細胞レベルで見ると体内に残っている可能性はあります。手術で肉眼的に摘出でき、しかも摘出標本を病理医が精査して切除断端にがん細胞がなくても医師は、予防的に抗がん剤の投与を進めます。

今の化学療法ではがんの再発・転移を防ぐことは「がん幹細胞」が存在していると、非常に難しく困難になります。「がん幹細胞」が少数存在するだけで元のがん細胞と同様かそれ以上のがん細胞を形成する能力をもつからです。がん幹細胞は再発・転移がわかるまでは正常細胞と同じですので、その間は抗がん剤などの治療の有用性は少ないです。
1種類の抗がん剤で治療するより「がん細胞の不均一性」がありますので多剤併用療法のほうが治療効果があります。また同じ副作用を持つ薬剤を組み合わせないようにします。抗がん剤の薬理作用として、少量では効果が得られず、ある程度副作用が出現するところまで、体重あたりの投与量を引き上げないと効果が得られないという特徴があります。そのため、抗がん剤の治療効果を得るには、一定の期間内に一定の投与量が必要になります。そのため副作用がでてきます。

先進医療試験一覧

JCOG Japan(日本臨床腫瘍研究グループ)は、国立がん研究センター中央病院臨床研究支援部門が研究を直接支援する研究班の集合体があります。各領域のがんに対する標準治療の確立と進歩を目的として様々な研究活動(多施設共同臨床試験)を行っています。

「臨床試験」とは、新しい薬剤の候補や治療法の有効性や安全性を調べるために、抗がん剤の場合は患者さんにご協力いただき、 それが本当に治療法として適しているかどう科学的に調べるための研究の方法が臨床試験です。その積み重ねが標準治療になります。 JCOGで実施中の先進医療試験一覧 

化学療法(抗がん剤治療)の種類や、分子標的薬

化学療法は「アルキル化剤」「代謝拮抗剤」「植物アルカロイド」などに分類されます。細胞抑制の機序としては「トポイソメラーゼ阻害」と「微小管阻害」の二つに分けられます。一般的には「細胞障害性抗がん剤」は、がん細胞への有効性により、いくつかに分類されます。 投与方法もさまざまで、単独あるいは、数種類を組み合わせて用いられます。一般的にはに「抗がん剤」を指します。

がん細胞の増殖に関して重要な役割を果たしているDNA(デオキシリボ核酸)に作用して細胞を死滅させる働きがあります。

抗がん剤は多数あり一部の抗がん剤を紹介します。 有効性が充分あり、副作用が少ない薬剤が登場してくれたら数種類で済みます。本当に有用性がある抗がん剤はまだありません。

アルキル化剤は一般名「エンドキサン」「ダカルバジン」「テモダール」などです。マスタードガスの研究から開発された細胞障害性抗がん剤です。細胞のDNAの窒素と反応し、その構造を変性させアルキル化反応をおこさせます。アルキル化基が結合した状態で、がん細胞が分裂を続けようとすると、DNAのアルキル化により遺伝子を傷つけたりすることで、がん細胞は増殖することはできません。

代謝拮抗剤はは一般名「5-FU」「TS-1」「アリムタ」などです。DNA合成に必要な酵素の働きを阻害することにより細胞の増殖を阻害します。

植物アルカロイドは一般名「タキソール」「タキソテール」「アブラキサン」などです。微小管阻害薬(タキサン系とビンカアルカロイドに分類されます)DNAに結合することによって、がん細胞の増殖を抑えますが、正常細胞のDNAも阻害するので正常細胞にも影響があります。植物成分の中には強い毒性を示すものがあり、この強い毒性を応用したものです。

トポイソメラーゼ阻害剤は一般名「イリノテカン」「ベプシド ラステット」などがあります。DNAのらせん構造を変化させる酵素にトポイソメラーゼがあり、I型とII型のタイプが存在すします。 トポイソメラーゼ、I型とII型阻害することでDNA合成を阻害すます。

白金・プラチナ製剤はは、一般名「シスプラチン」またシスプラチンに比べて腎毒性が低い「カルボプラチン」「オキサリプラチン」です。アルキル化剤に似た作用があります。多くの医療施設で使用されています。

正常細胞より分裂する速度が速いがん細胞の2本のDNA鎖の合成を阻害しますので、がん細胞は増殖することができません。進行がんに対する併用化学療法の中心的役割を担っています。また術前化学療法、術後の再発防止のために使われています。 他の抗がん剤との併用により、すぐれた腫瘍縮小効果がみられますが、特に腎機能障害など副作用が強く尿の量を多くして腎毒性を軽減する必要あります。

特定の分子に作用する分子標的治療薬が開発されました。分子標的治療薬は、抗体と低分子化合物の2種類があります。 分子標的治療薬は、がん細胞の増殖、浸潤、転移などの情報伝達(がん細胞の特有の分子)に焦点を絞って開発された薬剤ですが、抗がん剤とは全くタイプが異なる副作用が出現することも報告されています。

化学療法(抗がん剤、分子標的薬)で腫瘍が縮小して、副作用を管理しながら投与すると劇的な効果もみられます。 商品名「タルセバ」「イレッサ」「ハーセプチン」血管新生阻害薬の「アバスチン」など 非小細胞肺がんで使用された商品名「イレッサ」は夢の薬としてもてはやされましたが、間質性肺炎という深刻な副作用がありその後の遺伝子検査の道筋になりました。

EGFR(上皮成長因子受容体)のある部分に特定の遺伝子変異があることがのちにわかりEGFR遺伝子変異と がんの特性を調べ、その薬剤の効果を予測するバイオマーカー(がんの特性を調べ、その薬剤の効果を予測すること)ができるようになりました。 「タルセバ」も同じです。 プロファイリングがん遺伝子検査によって遺伝子の変異が発見できない場合や、変異が見つかってもそれに対応する抗がん剤、分子標的薬がないなど治療に結びつかない場合もあります。 遺伝子変異に合う薬剤投与ができた患者さんは全体の20%以下です。

がんの種類や病態によりがん巣の縮小があり延命・症状緩和がありますが、期待される有用性とそれに伴う副作用は人によって異なります。

化学療法(抗がん剤)メリットとデメリットのバランスを理解しましょう

化学療法薬は、がんの成長を抑制する作用は確かにありますが、がん細胞と正常な細胞を区別することが難しく、効果が現れる量と副作用のでる量がとても近いのが弱点です。 また、化学療法薬は血液によって体全体に運ばれるので、効果と同様に副作用もいろいろな体の部位に現れます。

化学療法を受ける理由は、化学療法剤の主作用(ベネフィット)を重視しているからです。 抗がん剤のほとんどは、腫瘍の増殖を抑え、そしてできるだけ、がん細胞を縮小させける効果と正常細胞への影響が少ない薬剤が求められます。

◯がん細胞が全て同じように薬剤に感受性があること
◯がん組織の血流がある程度豊富で、 薬剤が全てのがん細胞に到達できること
◯投与期間に薬剤への感受性が変化しないこと などの条件が必要です。
抗がん剤治療は点滴あるいは内服で投与します。がん細胞に有効である薬剤を投与するわけですが、必ず副作用が生じます。副作用を抑えながら薬剤の効果を最大限にするように工夫されていまが、がん細胞に効果があるような薬剤は現代ありません。正常な細胞にも悪影響を及ぼします。

一種類だけの薬剤を大量に投与すると特定の副作用が集中して重大なことになりかねません。 そこで、いくつかの抗がん剤を組み合わせて投与すると、副作用が分散され、効果も単剤のときより増します。 このため抗がん剤治療はいくつかの薬剤を組み合わせて使います。抗がん剤は1回の投与または複数回投与したら1~3週間程度、休薬します。一般的にこういったサイクルを繰り返します。どれだけ長期間に渡ってQOL(生活の質)を維持することと、ダウンステージに繋げます。

抗がん剤を投与して腫瘍の縮小・消滅効果を期待します。正常細胞にもダメージを与えますが、正常細胞は3週間程度で回復しますが、がん細胞は回復できません。 そこで次の抗がん剤の投与のサイクルを数回繰り返すと抑制する効果は最大になります。

しかし、その後は副作用が増すばかりで、状態にもよりますが、効果は頭打ちになってしまいます。
固形がん以外の、悪性リンパ腫、急性白血病、小児がんの一部などは抗がん剤治療で完治することが期待されます。

しかし、固形がんの多くは、がんと確定診断された場合それが早期でも抗がん剤だけで完治することはありません。再発の予防も難しいと思っています。 抗がん剤、分子標的薬は多くの方が標準的治療で使われていますが、 固形がんの場合、腫瘍縮小効果はありますが、 その後がん細胞が変異して増大してくる場合もあります。

がん細胞の多様性と耐性があるからです。抗がん剤、分子標的薬よって副作用は必ずおこります。QOL(生活の質)を著しくそこなうこともあります。 抗がん剤と聞くと副作用が強いなどのイメージから不安になってしまう方もいらっしゃると思います。

がん細胞を「死滅」させるという言葉が先行しているかもしれません。このサイトでは、がん細胞でも元は自分の細胞でしたから『死滅」とかの言葉はなるべく使わないようにしています。

化学療法は腫瘍縮小効果、微小ながん細胞を減少させるなどのメリットがある一方で、重い副作用が起こる可能性や、正常細胞のDNAに作用して正常細胞が、がん化する2次発がんの可能性などのデメリットもあります。

理論や実験で正しいと思われても、患者さんに有効でなければまったく意味はありません。 このため様々な投与方法が計画されます。それにより患者さんの生存率の向上・腫瘍縮小率が科学的に確認され承認された薬剤が標準治療(保険適応)になります。

しかし、抗がん剤は日本の薬品メーカーが販売していますが、日本で開発して製造されている科学的評価に耐え得る抗がん剤は非常に少ないです。 海外の抗がん剤がほとんどです。北米の データを追従しているのが現状です。ですから、日本人の体質など考慮されて製造はされていません。

固形がんに対しての延命率は科学的に確認されていることになっていますが、今の抗がん剤治療は実験的な治療です。 私は、腫瘍が縮小しても延命率は変わらないと思います。多種多様の副作用のこともあります。取り上げたら切りがありませんが、その中に骨髄抑制があります。

白血球・赤血球・血小板の減少してしまいます。自分で回復できたらいいのですが、 戻りが遅い人は白血球の回復させる造血因子の投与を行います。極端な貧血や血小板減少は成分輸血を行います。

小腸から遊離したセレトニンや嘔吐中枢の刺激があり強い吐き気を催すこともあます。その場合、制吐剤が使用されますが、刺激を感じなくさせるだけで根本的な解決にはなっていません。 そこまで抗がん剤を投与する必要はないと感じます。また状態によりますが、数クールまでがメリットだとも思っています。

違う選択肢として、抗がん剤をやめて緩和ケア・在宅医療に切り替えたら体調が快方に向かうケースも多々ありました。 様々な起こりえる副作用の可能性について主治医よく相談して、納得したうえで治療を受けるかどうか、また止めるタイミングを選択することも大切です。

副作用があるとはいえ、主作用のおかげで利益を得ている多くの患者さんがいることも事実ですが、治療のやり過ぎは逆効果です。化学療法はまだまだ完成されてはいません。

大学病院やがん専門病院は、一般的な規模の病院では難しい高度医療や人手を要する治療が可能です。 例外もありますが、治療成績は平均的なレベル以上を期待できるでしょう。いろいろなデータを集めようとして検査が多くなりがちや、しばしば治験に関係した治療への協力を要請されることはやむえない点だといえます。

より効果のある薬剤や新しい安全な治療法(手術・放射線など)をつくるため、臨床試験はなくてはならないものです。 がん治療は臨床試験を積み重ねて進歩して現在の標準治療になりました。 難治性のがんも多く、これからも臨床研究、臨床試験は続きます。

新しい治療法(抗がん剤を含む)の安全性と有効性を科学的に調べるための研究の方法が「臨床試験」ですが、 これとはまったく関係ないがん治療があります。自由診療のクリニックの○○療法です。 抗がん剤には副作用があるため、自前で低用量の抗がん剤を投与します。当然低用量ですから副作用は少ないのですが、有用性は臨床試験をしていないのでわかりません。そのかわり違う臨床試験の結果がでていない○○療法を奨められます。これでは何のための臨床研究、臨床試験かわかりません。

ステージの進んだ患者さんは標準治療の抗がん剤治療を受けています。抗がん剤治療の功罪はあるとは思いますが、それでは定用量の抗がん剤治療を現実的に受けている患者さん、治療をしている医師は間違っているのでしょうか。

不安を感じたときや、納得がいかないときいつでも話せる信頼できるパートナアーはほしいです。

免疫チェックポイント阻害薬

がん細胞は、本来体に備わっている免疫細胞(T細胞)からの作用を逃れるために、PD-L1というタンパク質を出し、 これが免疫細胞のPD-1に結合すると、免疫細胞の働きが抑制されがん細胞は増殖します。

がん細胞が出す免疫抑制物質を阻害して免疫力を高める薬剤です。

抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体は対の関係にありリンパ球のキラーT細胞を抑制もしくは停止させる共同抑制因子です。 これによりがん細胞は免疫細胞からの作用から逃れて増殖します。

作用機序は抗PD-1抗体は免疫細胞のPD-1と結合し、PD-L1との結合を阻害し、抗PD-L1抗体は、がん細胞が出すPD-L1に結合して、PD-1との結合を阻害してがん細胞の増殖を抑えます。

最初は黒色腫と非小細胞肺がん、一部の腎がんに適応となっていましたが適応が広がりました。効果がある人と効果かない人の何が違うのか、遺伝子検査でも決定的な違いはまだわかっていません。

対象になった患者さんの奏功率は10%くらいです。薬剤が高額ということもあり現在では第一選択として使用することは少なく、また副作用に関して予測不能な部分もあります。

状態によりますが、1次治療として使える可能性もありますが、ガイドラインは基本2次治療からです。今までとはタイプが異なる副作用が出現することもあり、今後は他の薬剤との併用の可能性を探っています。

肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の第III相臨床試験は、ステージⅣ非小細胞肺がんに対して臨床試験をはじめ、2019年現在、進行中の臨床試験も含めてその数は40を超えます。大手5社が開発競争を繰り広げています。

抗CTLA-4抗体
ブリストル・マイヤーズの「ヤーボイ」(イピリムマブ)
抗PD-1抗体
小野薬品工業/米ブリストル・マイヤーズスクイブ「オプジーボ」(ニボルマブ)
米メルク(MSD)「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)
抗PD-L1抗体 独メルク/米ファイザー「バベンチオ」(アベルマブ)
スイス・ロシュ/中外製薬「テセントリク」(アテゾリズマブ)
英アストラゼネカ「イミフィンジ」(デュルバルマブ)

確かに期待できる気にはなりますが、医療の最前線ではそんなにまだ期待値は、高くありません。最初は期待値は高かったのですが、保険適応の部位でも免疫チェックポイント阻害薬ありきではありません。保険適応の症例は増えてきましたが、ほとんどの場合化学治療を受けてからの結果次第で積極的な第一選択にはなっていません。

がん免疫治療薬「オプジーボ」の特許をめぐり、ノーベル医学生理学賞受賞者の、本庶佑(ほんじょうたすく)京都大特別教授が5日、薬を製造販売する小野薬品工業に対し、特許使用料の配分226億円余りを求める訴訟を2020年6月中旬に大阪地裁に起こしました。

「キイトルーダ」に特許侵害があるとして提訴。17年、メルク社が特許使用料を支払う内容で和解が成立した経緯がありました。それにしてもノーベル医学生理学賞受賞者が特許使用料のことで訴訟とは。本庶氏、製薬会社も、患者さんのことを一番に考えないといけないのに。なにか日本の薬事行政がおかしいです。

効果判定基準(奏効率)抗がん剤の治療効果は以下のような基準で判定されます

CR(コンプリート・レスポンス)完全寛解:著効:すべての病変の100%縮小、消失が4週間以上持続)
PR(パーシャル・レスポンス)寛解・有効:病変の50%以上の縮小が4週間以上持続)
SD(ステイブル・ディジィーズ)病変の縮小率が30%未満、または20%以内の増加で、 新病変の出現のない状態が4週間以上持続
PD(プログレッシブ・ディジィーズ)進行・増悪(最も縮小した時点から、25%以上の増大または、新病巣の出現

上記の様に臨床試験で奏効率(PR)が20%で抗がん剤が医薬品として認可されます。また臨床試験では総合的なQOLや副作用、延命率などはあまり考慮されていないのが現状です。

手術を前提にした術前抗がん剤治療は有用性があると思います。 手術ができない固形がんの場合、いろいろな抗がん剤と組み合わせてもあまり生存率は変わりません。

再発した場合も同じです。固形がんに対しては抗がん剤が延命に役立つことを科学的に証明した臨床データはありません。個人差はありますが副作用は必ず起こります。がん巣が一時的に縮小してもリバウンドがきます。

CR(完全寛解)でも数ミリ以下はCTで検査してもはわかりませんので、その時点でも、100万単位でがん細胞が残り、やはりリバウンドがおこります。それは、がん細胞の多様性があるからです。

腫瘍縮小効果と延命が相関しない現実を前に何を目的に治療し、どのように向き合っていくかが大切だと考えています。

治癒があまり期待されない化学療法(分子標的薬など)で副作用が辛かったりすれば、その治療はやめてほかの治療に切り替える事の決断も大切です。

腫瘍の縮小だけが目的ではなく延命効果やQOLが得られるならば、その時々の状況で考えてほしいと思います。

進行がんは再発・遠隔転移などの状態で患者さんの余命や、全身状態(呼吸、血圧、脈拍数など)をあらわすものではありません。 進行がんでも健康な人と変 わらず元気で生活している人はたくさんいらっしゃいます。

がん治療セカンドオピニオン サポートセンターでは化学療法や奏効率のことも含めてお伝えします。バランスのとれたアドバイスは大切で必要です。いつでも話せる信頼できるがん治療のパートナアーはほしいですね。

これからも数あるホームページの中でも本当に信頼できるサイトとして医療機関や医師からの協力も含めて、がん情報提供、理想的な「がん治療セカンドオピニオン」を目出していきます。

抗がん剤の延命効果 副作用
抗がん剤治療のご質問が多いので基本的考え方をお伝えします

抗がん剤はがん細胞だけに作用して、がんを治す薬と思っている方が多いのですが、固形がんの場合、治癒を目指したものでなく、延命効果を期待して使われています。 固形がんの再発例は、従来の抗がん剤や分子標的薬では必ず増悪、増殖してきます。

抗がん剤全てが、有用性がない、ということではありませんが、延命、生活の質の向上に明らかに有用性の、確認できる薬剤は現在50%くらいです。

白血病や悪性リンパ腫など一部の血液がんでは有効が証明されていますが、固形がんの場合抗がん剤は副作用の強いものが多いため、 治療を続けているうちに抗がん剤の利益(有用性)より 不利益(デメリット・副作用)のほうが上回り寿命を縮めてしまいます。

抗がん剤治療の利益(有用性)がある方もいますが、長期に渡る有用性はありません。抗がん剤を使った患者さんのほうが、生存期間が少し長くなっている調査もありましたが、 副作用のことには触れていません。

特に高齢の方は、抗がん剤治療のあり、なしで生存期間に影響があったかどうかわからないのが現状です。 延命だけではなく生活の質が改善したかどうかも考慮したいですね。

抗がん剤治療をしないという選択肢もあります。 抗がん剤を適切な時期にやめたことで、寿命が延びQOLが向上した人もたくさんおられます。 いつ抗がん剤治療をしない決断をするかですが、標準治療では有用性より副作用が上回っていても、極端な場合できるまで続けます。

患者さんの全身状態をPS(パフォーマンス・ステータス)であらわします。PS3とPS4(しばしば介助が必要で身の回りのこともできない状態)には抗がん剤治療は、普通行いません。

ーダーメイド治療のはずですが、抗がん剤の有用性はがんの腫瘤の縮小(画像検査等)腫瘍マーカーなどで効果を評価することが中心です。健康保険制度というかぎられた枠のの中で治療を行っていますので、延命効果、生活の質(とくにメンタルケア)を個々に考慮することの難しさもあります。

オプジーボをはじめ免疫チェックポイント阻害剤でも第一選択で使用することは、少ないです。

がん治療 最新の放射線治療

パンデミックス(致死性の高い感染症が世界的に流行する)の基礎知識放射線治療も、電子線、陽子線、重粒子線などさまざまな種類が登場し、 高精度放射線治療とも呼称されています。正常な細胞のDNAをできる限り傷つけず、さまざまな角度からがん細胞にだけ放射線を照射することが可能になってきました。
がん細胞が分裂して増殖するときに必要なDNAに作用して、がん細胞の増殖を止めます。

臓器を温存することが可能です。 照射方法も分割照射治療、定位放射線治療などがあります。
がんの治療に使われている放射線の種類には、X線、γ(ガンマ)線などがあります。

TomoTherapy(トモセラピー)
今まで実現困難とされてきた複雑な腫瘍の形状にも、その形に沿った強度変調放射線治療ができるようになりました。CT画像を元に、腫瘍の位置の誤差を補正しますので、計画した部位に360°方向から連続的に腫瘍を照射することにより正確に治療を行うことができます。他の放射線治療機器と同様に、X線によるがんの治療を行うために開発された装置です。現在日常的に用いられる位置照合の中でも最も精度の高い照射が可能になりました。

定位放射線治療の登場により、最近は根治を目的として使われることも多くなってきました。 患者さんの年齢、体力、臓器の温存など種々の要因で、手術より放射線療法を第1選択にしたほうがよいこともあります。 定位放射線治療とは、がん病巣にピンポイントで照射する放射線治療です。従来の放射線は、一方向からしか照射できなかったのですが、定位放射線では多方向(360°)から照射できるできる放射線治療機器です。

ピンポイント治療が可能になったのは、がんの脳転移が最初でした。コバルト60線源を用いたガンマナイフです。 従来は1回で2グレイで20~25回合計線量40~50グレイで治療していましたが、1回20~25グレイで1回で治療するという画期的な治療法です。その後、通常の放射線治療機器でもピンポイント治療が可能になりました。

肺がんでは1回の線量は8~12グレイで合計線量50~60グレイで治療します。放射線治療では臓器ごとに照射できる線量が決められています。例えば脳は45~75グレイ、肝臓は30~55グレイですが、概ねがん治療においては、一つの部位で50~60グレイが限度量となっています。 これ以上の線量は正常細胞にも副作用がおこります。照射する範囲を広くすると肺では放射性肺炎、腹部では吐き気、下痢などの副作用から、腸管損傷などの重篤な副作用がおきる可能性もあります。

副作用を治す決定的な治療法はありません。 しかし適用線量で治療することは局所治療ですから比較的副作用の少ない治療法です。 1グレイというのは、1キロあたり1ジュールのエネルギーを受けたことを表します。 放射線治療機器とCTシミュレーターなど高度な治療計画装置の進歩により、がん以外の周囲の被曝線量を最低限に抑えられるようになってきました。

放射線治療技術は今や、がんを多方向からミリ単位の精度で照射できるほど向上しました。高精度放射線治療のトモセラピー、ノバリス、四次元ピンポイント照射で、今まで照射できなかった部位にまで精密に放射線を照射できるほど向上しました。 自在に3次元に照射する強度変調放射線治療も全ての部位ではありませんが保険適用になっています。

同時放射線化学療法

放射線治療に抗がん剤、分子標的薬を併用する治療を同時放射線化学療法といいます。がんが発生した部位にもよりますが、同時放射線化学療法の有用性が、複数の大規模な臨床試験で示されました。日本では2000年以降この治療法が導入されました。術前、術後にもおこなわれています。

がん治療をする放射線治療医の不足が問題

放射線治療を専門的に行なう放射線治療医は、全国に1,000名弱しかいません。放射線腫瘍認定医は500人くらいです。また放射線治療医は放射線診断を兼任している事が多く、放射線治療医が不足している状況です。国内には放射線治療施設が750ほどありますが、そのうちの50%は常勤の放射線治療医を確保していません。

放射線治療医の育成については「がん対策推進基本計画」に盛り込まれています。

日本は、CTやMRIと言った放射線診断機器(高額医療機器)の設置台数が、多いことが知られています。 放射線によって診断をおこなうことに関しては世界的にみてもトップレベルの水準ですが、放射線治療に関しては、トップレベルとは言えません。

また、放射線治療を行える医療機関が少なく、放射線治療を望む多くのがん患者さんを受け入れられないのが実情です。

治療が開始されるまでの待ち時間が長くなる事も珍しくありません。照射は1回10~15分ほどで済みますが、放射線1台で1日50~60人ほどの患者さんを治療するのが限界です。

今後もがん治療の柱として期待されている放射線治療ですが、実施できる医療施設が少なくてはどうしようもありません。理想的な環境で、重粒子線や陽子線治療と同じく最新の放射線治療を受けることは時間がかかるかもしれません。

重粒子線や陽子線治療は、「先進医療」の対象には、なっていますが保険適用には未だになっていません。 一定の条件もありますが、「先進医療」は決して標準治療の一歩先行く治療法ではありません。



がん治療(外科療法)がん治療現状(外科療法)がん薬物療法・放射線治療ですがん治療の難しい理由がん治療の難しい理由

がん治療の現状 手術(外科治療)
がん治療の現状(化学療法・放射線)
がん治療の現状(がん治療の難しい理由)
がん治療サポート内容 最善のがん治療を受けるために
「がん治療相談」がん治療アドバイザーによるサポート
がんの標準治療を選択するとき
がんの先進医療(精密医療)
重粒子線治療・陽子線治療
がん免疫療法
がんの発生のメカニズム
がんの再発・転移
がん幹細胞