新型コロナウイルスとがん治療

パンデミックス(致死性の高い感染症が世界的に流行する)の基礎知識新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が減少しません。 新型コロナウイルス感染が広がって4ヵ月を過ぎているのに感染者の増加曲線が3月の下旬より加速度的に増加していています。 日本でも、今後感染者数が爆発的な増加が予想されます。

どんなに高度な医療をもってしても防げない未知なるウイルスが存在し、 しかも、起きることはない、と考えられてきたウイルス感染症によるパンデミック(致死性の高い感染症が世界的に流行する)が起こりました。

ウイルスが変異を起こしやすい状況があり、毒性が強くなっていても不思議ではありません。 ヒトのDNA(遺伝子)は二重螺旋ですが、コロナウイルスは1本鎖RNA(リボ核酸)なので変異を起こしても不思議ではありません。 (RNAは、転写により一部のDNA配列を鋳型として合成されます)

二重螺旋だと、片方のDNAが傷ついたり突然変異を起こしても、修復酵素が働き、さらに片方のRNA側で修復する作用があります。
人間のDNAにはあるエラー修復機構が、一本鎖のRNAウイルスには存在していないため、突然変異を起こしやすい性質があり、 ウイルスの変異で悪性度が進化し感染を繰り返します。

ウイルスに対する免疫が人間にできても、そのウイルスが突然変異してしまえば、既存の免疫をすり抜けて新しいタイプの感染症として感染することが予想されます。

ウイルスに感染すると、数パーセントの割合とはいえ宿主である人間はなぜ死ぬことになるのか。 ウイルス感染によって体内に発生する膨大な活性酸素が原因です。 ウイルスを排除しようとして、体内のマクロファージや白血球などが大量の活性酸素を放出し、 さらに各種サイトカインなどの過剰発生が細胞毒性となって正常な細胞がダメージを受けて生命の維持活動ができなくなります。

サイトカインには白血球が分泌し、免疫系に機能するインターロイキン類、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類など、様々な種類があります。 病原体に対する免疫系の働きとしては、主に好中球やマクロファージなどの免疫系の作用、キラーT細胞による細胞傷害性物質の放出による宿主細胞の破壊、 B細胞が産生する抗体による不活化などがあります。このような免疫細胞の活性化や機能抑制には、サイトカインが重要な役割を担っています。

新型コロナウイルス(COVID-19)とがん治療
化学治療・放射線治療中の方はいつも以上にご注意ください

抗がん剤、分子標的薬には、がん細胞の「DNA」や「RNA」を阻害するもの、細胞の分裂を阻害するもの、がん細胞が増殖するために必要な栄養の供給を断つものなど、 さまざまな種類があります。

細胞に障害を与えることが、目的ですから正常の細胞にもいろいろな影響を与えます。 ですから副作用は必ずあります。 白血球や血小板が抗がん剤によって減少し免疫が低下した状態で感染症に罹患すると重症になりやすいです。

放射線治療は、細胞の「DNA」にダメージを与え、細胞の分裂・増殖を抑制します。 個々のがん細胞のDNAを切るイメージです。 がんの存在部位を正確に診断して、その部位を集中的にいろいろな角度から照射することができるように、 コンピュータでシミュレーションできるようになりましたが、放射線というのは、がん細胞ばかりではなく、正常の細胞にも照射されると影響は出ます。

「風邪」のを症状を起こすウイルスは数百に及びます

ウイルスが粘膜から感染して炎症を起こすと、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、発熱といった症状が起こります。 いわいる「風邪」です。ほとんどはウイルスが占めております。細菌、マイコプラズマなどの感染もありますがかなり少数です。 ウイルスの種類は、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス(新型・武漢ウイルスではありません)、アデノウイルスなどですが、 「風邪」のを症状を起こすウイルスは数百に及びます。

現在わかっている「風邪」のコロナウイルスは229E、OC43、NL63、HKU1の4種類。
重症肺炎まで症状が進むコロナウイルスは「SARS」と「MERS」そして今回の新型の3種類です。

たとえば、同じRNAウイルスであるインフルエンザウイルスは突然変異しやすく、毎年流行を繰り返します。

異物による感染から体を守る免疫防御機能が働いて発熱しますが、「風邪」による発熱が3日以上続くことはほとんどありません。

発熱は、異物の侵入により体に異変が起こったことを知らせると同時に、免疫の働きが活発になっているからです。「風邪」がきっかけになって気管支炎、肺炎、などの合併症を引き起こすこともあります。

今回のような新型のウイルスは、そのワクチンがないので、治療法や予防法で確立されたものはありません。医学でいうEBMはないのが現状です。 これといって有効な手段があない以上、このようなときは、自身の抵抗力、免疫力を高めるといった、普段季節インフルエンザでの対策と同様なことをすればいいと思います。

これで十分ということはないのですが抵抗力、免疫力を極端に下げないことが大切です。
人の免疫システムは、「自然免疫」「獲得免疫」で成り立っています。病原菌や異常な細胞を認識し、それらを排除することによって私たちの体を病気から守ってくれる強力な防衛機構です。

高度な生命体のみに備わったシステムです。 細胞ががん化する過程で抑制するのも、特定の病気に対して抗体を持つのもこの免疫システムのお蔭です。

新型コロナウイルス感染症から回復して抗体(獲得免疫)を持つ人が、2度目の感染を防げるという確証は4月25日現在、ありません。

サイトカインストーム

がんのステージが進んだ状態に似ているサイトカインストームの可能性もあります。
ウイルスを排除するための免疫組織が暴走し、その結果としてあらわれる炎症が、肺の細胞に強いダメージを与える場合もあります。 ウイルスの侵入や薬剤の投与などが引き金となって、サイトカインが過剰に産生されます。 サイトカインとは細胞から分泌されるタンパク質のことですが、細胞にシグナルを伝達し、細胞の増殖、分化、など多様な細胞応答を引き起こします。

その過程でさまざまな炎症症状を引き起こすのが炎症性サイトカインです。 血液中にこれらの炎症性サイトカインの血中濃度が高くなると、 血管内凝固症候群(DIC)や血圧の上昇、心不全、低酸素血症、などが起き、 最悪の場合多臓器不全(生命維持に必要な複数の臓器の機能が障害された状態のこと)に至ります。

これらの状態を「サイトカインストーム」と呼びます。炎症性サイトカインは炎症を強め機能障害や細胞・組織の崩壊をもたらす病気です。免疫疾患を引き起こすこともあります。

炎症症状を引き起こすのが炎症性サイトカインです。がん細胞にも同じことがいえます。がんが、増大してくるとサイトカインが過剰に産生され、大量の活性酸素を発生させます。

サイトカインは、過剰な産生状態を引き起こし、さらに免疫系のバランスの乱れなどによってその制御がうまくいかなくなると、ひどい場合には致死的な状態に陥ります。

サイトカインは本来の病原体、ウイルスなどから身を守る役割のほかに、様々な疾患に関与していることが明らかになってきています。

ウイルス感染症によるパンデミック

感染症によるパンデミック(一気に感染者が増えるケース)
どんなに高度な医療が、向上しても防げない未知なるウイルスが存在し、人類はその脅威に常にさらされているということです。しかも、その脅威は増すばかりです。ウイルスには、ある動物の細胞には結合できるが別の動物の細胞には結合できない「特異性」があります。多くのウイルスには増殖するのに適した温度があります。

ウイルスは自身を複製するときに宿主である人の酵素群を使いますが、それが働きやすい温度があるためです。ウイルスが感染し増殖に必要な酵素が活発になる温度は42度です。人間のそれは36度で増殖効率が悪いので、人へうつすほどの感染力を持ちえないのですが、ところが、コロナウイルスは、物凄い速度で変異しています。

ウイルスは変異を繰り返す

生命が生まれて38億年、その中で僕たち人類の歴史はほんの一瞬にすぎません。遺伝子には多様性を広げる仕組み、あるいは局所的な変動に適応する仕組みがなどが組み込まれています。 ウイルスは物凄い速度で変異していて、ウイルスによっては年間で1000代以上も代替わりしていて、ウイルスの1年間は人類に例えると約3万年に相当し、ホモ・サピエンスがから現代人の代替わりになるくらいです。

ダーウィンは進化の中で生物が生き残るのは、「いちばん強い者でも、いちばん頭がよい者でもなく、いちばん適応力がある者である」と進化論で解いています。

感染力が非常に強いことです

「ヒト」から「ヒト」の直接接触感染、また感染者数が増加するにつれて、「ヒト」「モノ」「ヒト」感染も注意が必要です。今回のコロナウイルス(COVID-19)では感染者の便にもウイルスがみつかっており、手洗いはもちろん大切です。

感染者が触れた場所にウイルスが付着し二次感染を発生させる危険性の確率が高まります。 マスクだけでは効果が期待できなく、まめな手指消毒が必要です。 普通の生活を送るのに、まめな手指消毒は大変なことです。

未知のウイルス感染症は治るのか

確かに人類は、高度な医療技術を持ち、公衆衛生も向上していますが、いまは都市化に加えて大量高速輸送が可能になり、未知のウイルスも人間も移動がしやすくなり、人から人への感染が容易になりそのため、感染の危険度が増しているのです。

つい最近の報告では、COVID-19におけるウイルス核酸の放出パターンはインフルエンザと類似しているとの報告もあります。

ウイルスはミューテーション(突然変異)を起こしやすく、当然、変異を起こして毒性が強くなっていても不思議ではなないです。

地球の温暖化によりウイルスを媒介する蚊の活動地域が広がり、さらにシベリアの永久凍土が溶けて、そこから未知のウイルスが放出されるリスクもあります。 凍土に閉じ込められた、過去の毒性の強いウイルスが再び目を覚ます可能性もあると考えます。専門家からの情報が重要ですが、シミュレーションはよく耳にしますが、専門家でも正確な知見を持っているわけではないです。

抗ウイルス薬は、開発されていません。多数の候補薬も一長一短です。 新薬を最初から開発するには時間がかかりますので、 新型コロナの治療薬は既存薬の中から有望なものを探し出すという戦略で進められています。
細菌と異なるので抗菌薬(抗生剤、抗生物質)の有用性はありません。

いま試験的に使われている薬剤に対して耐性をもつように進化していく可能性はあります。病原体に特化していない不適切な種類の薬剤が用いられたり、薬剤の量が不十分だったりすると、病原体が死滅するには至らないで薬剤耐性を持ち、 ウイルスが薬剤耐性の獲得に向けた進化が加速することも考えられます。新薬が承認されたときに、長期に渡って有用性を維持できるかが鍵になります。

ワクチンを開発し、使用可能となるまで、さまざまな工程があり、また大量生産が可能かどうかの確認、安全性などを検証する必要があります。
新型コロナウイルス感染症から回復して抗体(獲得免疫)を持つ人が、2度目の感染を防げるという確証は4月25日現在、ありません。

新型コロナウイルスは指定感染症ですので、PCR検査の検査費は公費負担です。入院、治療した場合の医療費も原則、公費負担です。