<<ホーム 細胞ががん化するメカニズ 遺伝子プロブラムが関与

がんの発生には複数の要因が関与していますが細胞内のDNAに変異が起こることががん発生の主要な原因の一つです。

がんが発生するのは、細胞の遺伝子プロブラムに発生する変異が主な原因です。私たち成人の身体は約60兆個の細胞から成り立っています。

それらの細胞は遺伝子( DNA)をコピーしながら細胞分裂を繰り返しています。様々な化学物質や紫外線などの原因で、遺伝子の二重らせん構造にダメージあたえます。

細胞には傷ついたDNAを修復する仕組みがあり、元どおりに修復されますが老化などにより修復されない遺伝子の変異が蓄積すると細胞ががん化する発生頻度は高くなってきます。遺伝子が正常な機能を失い、突然変異してできるのが、がん細胞です。突然変異は、遺伝子の修復機構の不具合、環境因子(放射線、化学物質、タバコの煙など)によるダメージ、などによって引き起こされることがあります。ほとんどの場合、複数の遺伝子変異が必要で、多段階発がんにより10〜20年くらいの間に細胞レベルから徐々に変異が蓄積して塊(組織)になります。

遺伝子の本体であるデオキシリボ核酸(DNA)は4つの塩基で構成されています。細胞周期(Cell Cycle)により細胞が分裂するときは遺伝子プログラムに何らかの異常が生じると、細胞は死なずにとめどもなく分裂を繰り返すことになります。複製を実行する酵素(タンパク質)は頻繁に変異をおこします。

【目次】
細胞ががん化するメカニズ
全身の新陳代謝
テロメア合成酵素
細胞のシグナル伝達機構
細胞分裂の異常、がん抑制遺伝子
がん細胞の増殖
生体の免疫系
細胞膜を傷つける原因
がん細胞の抑制に期待
がんの多くは消化管で発生します
がん治療相談 がん治療の実際


高頻度で異常分裂

そのエラーが細胞分裂の調整をつかさどる遺伝子プログラムの部分で起きた場合、その細胞は高い頻度で異常分裂を繰り返すようになり、正常な細胞群より早く成長して塊(がん巣)になります。がんは遺伝子の病気ともいえます。

細胞のがん化を防ぐために免疫細胞(リンパ球)が防いでいます。また、がん抑制遺伝子「p53遺伝子、RB遺伝子」などがあることはわかっています。

DNA(デオキシリボ核酸)はアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)からなりたっています。

1つの細胞には30億の遺伝子プログラムが含まれています。

それぞれの正常細胞は個人差はほとんどなく生涯約60回の細胞分裂を繰り返し、それ以降は分裂はしません。大部分の細胞は、正常な細胞周期(Cell Cycle)により分裂を重ねて体の機能を維持しています。

なぜ特定の細胞ががん化するのかヒトゲノムの完全な配列を解析することができた現在もがん発生に関わるタンパク質の抑制方法はまだ解明されていません。

細胞のがん化は正常細胞から徐々に誘発されて「多段階発がん」します。変異細胞は10~20年ほどの期間を掛けてがん細胞になりその後がん細胞の塊(がん巣)になります。固形がんは1cm程度の大きさにならないと画像検査(CT・MRIなど)で発見することはできません。

がん細胞になる過程 多段階発がん

血管新生(腫瘍血管生成)

がん細胞が生き残り、増殖し続けるためにがん組織は酸素や栄養素を供給するために新しい血管を形成します。この過程は血管新生または腫瘍血管生成と呼ばれておます。

全身の新陳代謝

細胞のがん化は様々な臓器に発生します。食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、乳癌などそれぞれ特定の部位に発生しますのでその部位における病気だと思われがちですがそうではなく全身の病気です。全身の新陳代謝(10年から20年免疫機能が低下している状態が続いていた状態)がみだれた結果、DNAの変異によりがん化します。がん細胞が免疫細胞の網の目をかいくぐって増殖してきたことになります。

がんは遺伝子の突然変異によって発生しますが、がんはたった1個の正常細胞が、無限に増殖しがん細胞に変わるところからはじまります。正常細胞は分裂の回数が決まっていますが、がん細胞は無限に増えます。そこが正常細胞とがん細胞の決定的な違いです。

人間の体の中の細胞では40歳を過ぎると毎日一定数の異形成細胞、がん細胞、が毎日発生していると考えられています。変異をおこした遺伝子が正常細胞の中に蓄積され変異遺伝子の細胞の積み重ねによりがん化するというメカニズムが身体の中にあるからです。

それを人間のリンパ球、がん抑制遺伝子が、がん細胞を抑制してがん化をおさえているということが最近の研究でわかってきました。このことは基礎医学の分野では以前からがん細胞が発生、消滅を繰り返していることは当然のこととして考えられていました。

がん細胞が無限に分裂するのは、テロメア合成酵素が活性化しているからです

細胞が分裂増殖するには自身のDNAを複製する必要があります。 テロメアはもともと染色体の末端にある構造蛋白体で、遺伝子情報を保つDNAを保護しています。細胞分裂のたびにDNAは複製されますが、末端は複製されないのでテロメアは徐々に失われて短くなります。そうなると細胞は分裂することが出来なくなり「細胞老化」アポトーシス(プログラムされた細胞死)して細胞の役割を終えます。

細胞のアポトーシス(細胞死)の欠如

健康な細胞は、異常な細胞や老化した細胞を自己破壊するアポトーシスと呼ばれるプロセスによって排除します。しかし、がん細胞はアポトーシスを回避する能力を獲得しており、異常な細胞が増殖し続けることがあります。これは、がん細胞が正常な制御メカニズムを逃れ、生き残り続けるために関与している要因です。

異常な増殖性を持った細胞が、がん化するのを未然に防ぐ免疫機構があるからです。がん細胞では、テロメラーゼ(telomerase)と呼ばれる大量のテロメア合成酵素が存在しております。テロメア合成酵素が活性化しており、この酵素の働きによってテロメアが維持されます。免疫機構による制御を受けず、がん細胞は無制限に分裂を繰り返します。のちに述べる活性酸素と関係があります。

細胞のシグナル伝達機構

細胞増殖の周期

健康な細胞は正確な分裂サイクルを経て増殖しますが、がん細胞は分裂の制御を喪失し、異常な速度で増殖します。この制御の喪失は、遺伝子の変異や細胞内のシグナル伝達経路の異常によって引き起こされます。

細胞分裂する時の周期はG1、S、G2、Mの4つのステップがあります。細胞が外部からの信号(シグナル)をうけた時、細胞内でさまざまな物質がそのシグナルを伝え、細胞の増殖などの有無が決まります。細胞分裂する時に種々の抑制タンパク質の機能が失われると、最終的に細胞時計を狂わせて細胞の過剰増殖を引き起こします。がんの発症などに密接に関連しています。

細胞のシグナル伝達機構イメージ

細胞分裂の異常、がん抑制遺伝子

各細胞のDNA(デオキシリボ核酸)は折り畳まれて染色体になっています。 「DNA」は遺伝情報を記録している物質です。細胞が分裂して新たな細胞ができる際には、染色体が等しく分裂されることが自然ですが、 細胞分裂のときに本来の数より多くなったり少なくなったりすると、がんの発症とも深くかかわっています。

様々な細胞には「核」があり、その「核」に染色体があります。染色体の数は22対:44、性染色体2本で、合計46本になります。細胞が分裂して新しい細胞になるときは元の細胞の染色体はコピーされて2倍の96本になりますが、その後46本になります。これは自然なことですが、細胞分裂後の染色体の数の異常は、がん細胞でも頻繁に起き胃がん、大腸がんなどの固形がんでは約9割、血液系のがんの約7割以上で異常が認められています

がん抑制遺伝子

がん抑制遺伝子」p53遺伝子、RB遺伝子、MLH1遺伝子などは、がん細胞ではこの「がん抑制遺伝子」が機能しなくなり、がん細胞の増殖が続いていることが分かっています。 染色体の数が増えたり減ったりすると、異常な細胞分裂をするのでがん細胞が増殖すると考えられます。これらのがん抑制遺伝子はそれぞれ細胞死の誘導、細胞増殖の抑制、DNAの修復に重要な働きを持つことがわかっています。

がん細胞の増殖

たった1個のがん細胞は10年から20年あるいはそれ以上の長い年月をかけて何段階にも変化して「悪性のがんは」生命を脅かすまで成長するのですが、1個のがん細胞は30回の分裂で10億個のがん細胞が含まれている約1cm、1gの塊(がん巣)になります。
40回の分裂で約10cmの塊で1㎏の大きさに成長します。

※悪性のがんとは転移、遠隔転移をおこすがんです。
しかしいくら小さな固形がんでも発見されたときには転移するかどうかは今でもわかっていません。
手術後摘発した組織を病理検査(組織学的グレード分類)しても転移するかしないかはわりません。


早期発見できるおおきさ

1個のがん細胞から分裂がはじまって30回目あたりでまでの増殖過程は最新の画像診断機器を使っても人間の目はまだ異常としてとらえることはできません。

1個のがん細胞の大きさは約10ミクロン(1ミリの百分の1)大きさが1mmのガン細胞の塊は約1,000万個です。早期発見といわれている1cm位の大きさでは、10cmの塊に増殖すると仮定して4分の3を経過した状態でしか早期発見は出来ないのが現状です。

40回分裂して1㎏の大きさですから、分裂が30回目以降でないと発見できないのです。このことは、早期であっても細胞レベルでは30回目以降の分裂ですからはたしてその時点で本当に早期と言えるのか疑問に思えますが。

がん細胞の分裂のスビートは必ずしも一様ではなく、がん細胞の分裂は最初のうちは早く途中からスビードダウン(常に倍々に増えるわけでは決してない)することも、増殖、増悪することも知られています。

どの臓器でも、大きさが部位にもよりますが3cm以上なりますと、一概に言えませんが年齢、性別に関係なく自覚症状も出てきますし、生命に危険を脅かします。当然ですがそれ以前の段階でもがんは全身のあらゆる臓器、組織に発生するので、それぞれの機能や局所の変化として個々に症状をあらわします。

すでに遠隔転移、多発転移している場合もあります。しかしそこまでがん細胞が大きくなるには、がん細胞が分裂をかさねていくあいだには、死滅するがん細胞もありますが1個のがん細胞が単純に2分裂を40回分裂くりかえすだけで10センチ程度になります。

今の医学は早期と呼ばれるがんが進行してその延長線上に進行がんがあると普通考えますが、しかし早期がん(5mm以下の超早期がんなど)はいつまでたっても早期がんで、手術で切除、摘出しなくても、そのままの状態かまたは、そのうち自然に無くなっていくという考えも根強く残っています。このことは、身体の抑制遺伝子によってがん細胞の増殖を抑えていると考えることも出来ます。

生体の免疫系

生体の免疫系、がん抑制遺伝子というのはがん細胞をいつも監視していてがん抗原が発生すると異物と認識してそれを抑え込む働きをしています。がん細胞が大きくなっていく過程は複雑ですが、発ガンイニシエーター(正常な細胞のがん化を引き起こす原因となる発がん物質や要因)と発ガンプロモーター(がん細胞を促進する物質や要因)との関係があります。

人間をとりまく生活環境の悪化、食生活の変化(動物性たんぱく質と脂質の過剰摂取)過度に体を動かすことによって発生する活性酸素も原因の1つにあげられます。人間が本来持っているがん抑制遺伝子、免疫機構がしっかり働いていればがん細胞は生体の中の異物として増殖する前に消滅してしまいます。

細胞膜を傷つける原因

活性酸素で酸化します

細胞ががん化するきっかけはさまざまです。細胞膜を傷つける原因の一つに活性酸素があげられます。生体の正常な細胞を酸性化させます。細胞膜が傷つければ細胞の中にナトリウムが入ってカリウムが細胞の外に出ていきます。電解質の交換が行われ遺伝子を傷つける誘因になります。

細胞にダメージを与える活性酸素とは酸素がイオン化してプラスイオンになることで生じます。

必要なアミノ酸やビタミンを十分に摂取していても老化や病気は起こってしまいます。体内でタンパク質を作る過程においても活性酸素が発生します。

活性酸素はエネルギーを作る過程で発生します。身体を維持する為にブドウ糖や脂肪酸を消化しますが、その時に大量の酸素を使います。そのうち約2~3%が活性酸素になってしまいます。酸化させる力が強いほど活性が強い酸素という事になります。

鉄がさびるのと同じように体内のたんぱく質、脂質も活性酸素で酸化します。活性酸素によって酸化が進むと細胞は正常な状態ではなくなります。細胞は代謝を繰り返して常につくり変えられています。DNAの働きにより分裂し増殖していきます。

正常な細胞は一定の分裂の回数が決まっています。その分裂の回数を決めているのは、前にお伝えしました染色体の末端部にあるテロメアと呼ばれる物質です。細胞が分裂する度に少しづつ短くなり、テロメアがなくなった時点でその細胞は分裂をしなくなります。

がん細胞にはこのテロメア合成酵素を活性化させます。がん細胞は活性酸素によってDNAがダメージを受けると細胞が分裂してもテロメアの長さが短くならないため、がん細胞は増殖しつづけます。

活性酸素に正常細胞が刺激される最初の段階ではがん抑制遺伝子が働き修復されるので目に見える形での大きながん巣(最初にがん(腫瘍)が発生した病変のことです)にはなりません。DNAが修復されて正常細胞に戻るからです。

活性酸素はいったんバランスが崩れ過剰になると細胞の老化やさまざまな病気を引き起こします。体内で大量に発生した活性酸素はがんのほか脳や血管系の病気、心臓病などの原因になります。活性酸素が増える原因として生活環境の変化、地球の温暖化、水、ビタミン、ミネラルの変化、人間社会の複雑化に伴うストレス社会などがあげられます。

活性酸素が増大すればがん遺伝子の活性化や様々な病気の発病抑制遺伝子の機能低下をもたらします。これが生体を阻害する本当の意味での酸化ストレスとなります。これらの酸化ストレスは最終的にはDNA構造にダメージを与え、細胞の機能を阻害します。それに対してマイナスイオンが細胞の新陳代謝を活性化させるというデータがあります。

がん細胞の抑制に期待

がん細胞は低栄養、低酸素の環境でも活動ができる

ノーベル医学生理学賞に決まった大隈良典、東京工業大学栄誉教授が研究するオートファジー(自食作用)は生命活動を維持するための基本的な仕組みで、そこでの異常が、さまざまな病気と関わることが分かってきました。

「がん」は専門的に定義することが難しい病気です。正常細胞からどの段階にあるのか初期の状態ではわからないからです。 一般的には、全ての悪性腫瘍に関する疾病を指す言葉として用いられています。

がん細胞ではオートファジーが活性化されており、がん細胞では普通は生きられないような低栄養、低酸素の環境でも活動ができることがわかっています。

オートファジーは、細胞が不要になったタンパク質を分解して栄養源に再利用する仕組みなので、その働きを抑え、栄養源を得られなくすることで、がんの増殖を止められるとの考えからマラリアの薬剤に働きを抑える効果があるとして、他の抗がん剤と組み合わせた臨床試験が進んでいます。

また逆にオートファジーを過剰に働かせるがん治療の構想あります。がん細胞を放射線で刺激するとオートファジーによって必要以上にタンバク質が分解されて、がん細胞が消滅する現象が発見されました。

この現象を体内で再現する研究も進んでいます。細胞内のタンパク質は新鮮さを保つために常に入れ替わっています。基底膜レベルのオートファジーはその重要な担い手であると考えられています。約2か月で体のほとんどの細胞は新しいものと入れ替わっているからです。

がんの多くは消化管で発生します

異物である食物を摂り込み分解して、必要なものだけを吸収し、合成する一連の働きは「消化」と呼んでいます。 細胞内消化と細胞外消化の二つの「消化」があります。細胞内消化は血液細胞の一種の「白血球」個体防衛を目的にしていますが、体内に侵入した病原体や異物を取り込んだ際、消化して排出(体内掃除)する点では細胞内消化現象です。他のバクテリアを食べて生きる原生動物も細胞内消化をしています。

細胞外消化は、独立した消化管を体内ににもち、そこで食物を栄養源に分解して、消化をすすめます。体内では、吸収できるかたちにしなければ利用できないので、その化学反応は消化酵素が担っています。消化酵素は細胞内でつくられていますが、人間では独立した消化管のなかで、細胞内の消化酵素は細胞内から細胞外へ分泌されています。

人間のがんの多くは消化管でおこっていますが、それは口から肛門にいたる消化管は、広大な面積を持った一本の管です。消化管は生きるためにの栄養獲得するきわめて重要な管腔臓器です。生まれてから、外界の異物を摂り入れ続けて、消化管の粘膜は、休むことなく外界の異物と、消化酵素などの反応をして発がん物資を含むさまざまな毒物、細菌などの抑制や共存の場です。

口腔から食道まで、直腸から肛門までは扁平上皮の粘膜が覆っています。ここに扁平上皮がんが発生します。胃から大腸までは腺上皮の粘膜が覆っていますので、腺がんが発生します。

人間の消化管は基本的には一本の管ですが、この管の内部のいたるとこるに、外界の異物、食物が生涯接触を続けているために、がんが発生しやすいのです。がんの予防には、消化管がつねに接触している食物に注意を払うことが、いかに大切かわかります。

「ブドウ糖」ががん細胞が増殖するエネルギー源だと考えられてきましたが、最近「果糖」ががんについても、発症リスクを上げるとの報告もあります。がんにならないような食べ物の知識をもち、食生活の工夫することをおろそかにはできません。

がん治療相談 がん治療の実際

日本のがんの罹患率、死亡数は1981年に死因のトップになり、がん対策推進基本計画もありますが上昇を示しています。先進国でがんが増えているのは日本だけです。

2019年に新たにがんと診断された方は男女合わせて999,075人。2021年にがんで死亡した人は381,505人(男性222,467人、女性159,038人)です。それでも年齢調整死亡率を算出し、高齢化の影響を除去した場合の死亡率がんの罹患率は減少していることになっています。※国立がん研究センター2023年3月発表

これを高齢化にともなう現象として、受け入れるべきなのでしょうか。世界に共有する現象ならまだしも、海外に目を向ければ、アメリカでは、がんによる死亡数が減少傾向があるとされています。

日本の標準治療(保険診療)ではがんと診断された方の、全体で見た場合の治癒率は6割くらいです。

手術に成功しても数年後に再発することも少なくありません。標準治療で、がんで亡くなる方の減少傾向が認められないのであれば、抜本的な見直しを考えるべきだと思います。

がん治療は外科手術、抗がん剤治療、放射線治療のいわゆる三大治療が柱となっていますが、これらの治療が有効なのは再発・転移しない早期のがんで、いろいろなことがわかってきても、再発・転移するステージの進んだがんの、治癒率は低くなります。

この場合でも標準的な治療が適用されることが多いのです。そして標準的な治療ができなくなると緩和ケア、在宅医療の話が出ます。緩和ケアに入れない人、在宅医療が難しい人は「がん難民」になります。

患者さんは最後まで諦めず、希望を持ちたい、と願いますが、どこにも頼ることができなくなり、最後を迎える人がどれほどいることか、治癒できないばかりか、副作用に苦しみます。これではなんのための医療なのかわかりません。

頼れるがん治療アドバイザーを目指します 

がん治療は専門的な知識や判断が必要であるため、画像検査(CT・MRI)病理検査(採取された病変組織の病理学的診断)など踏まえた上で院内カンファレンス(病状検討会)を経て、最終的に主治医や担当医から検査結果、治療法について十分な説明を受けます。それに対して患者さんは内容をよく理解して疑問があれば解消し、納得した上で医療行為に同意します。

患者さん自身が治療に関して理解を深め、納得した上で選択した治療を進めることができるよういつでもサポートできるアドバイザーになりたいと思っております。悔いの無い治療を心より願っております。

がんの治療は、医師と患者さんとご家族の方の密接な連携が何より大切です。インフォームド・コンセント(納得と治療の選択)の普及の一助となれば大変意義深いことと考えております。


がん治療の現状 手術(外科療法)
がん治療の現状 薬物療法(抗がん剤)
がん治療の現状 放射線療法
がん治療の現状 がん治療の難しい理由
がん治療サポート内容 最善のがん治療を受けるために
「がん治療相談」がん治療アドバイザーによるサポート
オピニオン(がん治癒への道)
がん標準治療を選択するとき
「がん標準治療」生存率
がん先進医療(精密医療)
がん免疫療法
がん発生メカニズム
がん再発・転移
がん幹細胞
がん悪液質(あくえきしつ)
がん遺伝子治療
標準治療以上に自由診療の治療成績がよいということではありません
新型コロナウイルの基本知識