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がん全体の10年生存率
国立がん研究センターは、2008年にがんと診断された人の10年後の生存率を2021年4月27日に発表しました。専門的ながん治療を提供している全国240施設の約24万症例を対象にした調査で、これまでに発表された10年生存率の統計で、最も大規模なものでした。

【目次】
がんの生存率
がんの標準治療を選択するとき
進行がん再発がんは標準治療だけでは治癒はしない
治療の有用性と限界を知りましょう
がん治療は自分で納得して決めることも大切です
がん自由診療(代替療法)

がんの原発では、10年生存率が最も高いのは前立腺がんで、(98・7%)女性の乳がん(87・5%)子宮内膜がん(83・0%)子宮頸がん(70・7%)大腸がん(67・2%)の順でした。
生存率が最も低いのは膵臓がんで、6・5%。次いで、小細胞肺がん(9・1%)肝内胆管がん(10・9%)肝細胞がん(21・8%)の順でした。胃や大腸など、がん全体(男性・女性)で59・4%でした。

5年生存率も発表されていて、がん全体では67・3%だった。初めて発表された07年の64・3%から数値は改善しています。10年生存率は13年前のデータに基づいており、薬剤の開発など新しい治療法の恩恵を受けていない方もいますので、さらなる生存率の改善が期待できます。日本人の平均寿命が伸びているとはいえ、 がんは1981年以降ずっと日本人の死因第1位で、毎年、生涯に約2人に1人ががんと診断されています。毎年亡くなられる方の3人に1人ががんで亡くなっていることになります。

2017年に新たにがんと診断された人数(全国がん登録)は977,393例です。
2019年にがんで死亡した人は376,425人(男性220,339人、女性156,086人)です。
現在、がんの死亡率は減少傾向にあり、罹患率も減少しています。男女ともがんの罹患率は、年齢に合わせて段々上昇し、特に50歳代辺りから急激に上昇する傾向にあります。

がん治療における生存率の主な目安は、5年生存率です。これは、治療開始から5年後にどれだけ生存しているかの割合を示しています。診断から1~2年以内に亡くなる病状の悪い患者さんも含まれていますので、見方を変えるとステージ(病期分類)に関係なく治療開始後の1年後、3年後、5年後の生存率は上がってきます。全身状態、合併症、年齢などを考慮した再発率や予後を予測するリスク分類です。例えば手術後、年を経るごとに生存率が上昇するケースが多くなります。

現代のがん医学は、飛躍的な進歩しているように見えますが、それはCT、MRI、PETなど大掛かりな機器を使用した診断が進歩しているだけです。検査のやり過ぎも問題があります。皮肉なことに大掛かりな検査機器がなかった時代の方が、圧倒的にがんの罹患率、死亡率は少なかったです。

2019年がんの死亡率医療が細分化される方向には向かっています。医療機器の進歩もありますし、医師の人数、薬剤の種類は増えたのに、年齢調整罹患率(高齢化の影響を除去するための、年齢調整)では、がんに罹患する人、死亡率は微減していることになっていますが、全く実感がありません。 年齢調整罹患率などの言葉も前は使用していませんでした。また生存率ですので、その時点で再発されて、闘病している方は含まれていません。

2018年度の国民医療費は、前年より0.8%増加し43兆3949億円でした。がん「悪性新生物」の医療費は前年比5.9パーセント増の2兆8572億円(前年度2兆6958億円)で、1614億円の増加となりました。



がんの標準治療を選択するとき

がんの標準治療を選択するとき治療面は、相当前から手術や薬剤あるいは、放射線など集学的治療に頼るしかなく、根治的な治療ができているわけではありません。

個々の状況に応じた個別化医療を行うことも普通になりつつあり、ほぼ全ての部位でステージ(がんの進行度を示す病期)が早いほど10年後の生存率が上昇しています。それでも罹患率が増えている肺、膵臓、肝臓などの難治性の原発がんではここ数年の生存率は変わっていません。

専門分野も細分化されてきましたががん細胞とだけ結合する抗体薬で近赤外光のレーザーで、ダメージを与える次世代の治療法(光免疫療法・近赤外線免疫療法・薬剤・放射性医薬品など)は一部治療は始まっていますが治験、開発途中です。

縮小手術が多くなってきました。原発の部位によっては術前、術後の抗がん剤投与のレジメン(がん薬物療法における抗がん薬、輸液、支持療法薬等を組み合わせた時系列的な治療計画をいいます)が組まれています。機能温存を考慮した場合、強度変調放射線治療(トモセラピー)を含めた放射線治療を選択することもあります。

がん細胞の変異に合わせたより効果的な分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬(免疫チェックポイント分子 による免疫抑制機能を活用します) を選んで治療するためのがんゲノム医療「がん遺伝子パネル検査」も最近普通になってきました。 それでも、検査結果を総合的に検討する「エキスパートパネル」で、適応になる薬剤の有効率は10%くらいです。今後の新薬に期待したい分野です。
がん遺伝子検査(がん遺伝子パネル検査)

手術でがん巣を摘出すれば、かなりの治癒率が期待できるものの進行した段階で発見され、転移が見られるような場合には根治的手術による治療は限界があります。生活の質(QOL)の改善を目的とした姑息的治療も行われます。その中では、姑息的手術を行うことがあります。「姑息」という言葉は「一時的な」「対症療法」という意味です。

手術で治癒が望めない段階になって診断された場合や再発したときなどには、抗がん剤治療や放射線治療が行われるのですが一時的にがん巣を縮小することができても多くの場合、決定的な治療法とはなりません。

問題は副作用です。白血球の減少などの骨髄抑制、腎機能の低下など、さまざまな副作用をともないます。また当初、抗がん剤でがん巣を小さくできても、やがてがん細胞のほうに耐性ができ効かなくなります。再び腫瘤が増大してきたり遠隔転移も認められてくると、それまでの抗がん剤では抑えることができなくなりますから、違う抗がん剤を使用することになります。

薬剤耐性、がん細胞の多様性があるからです。例えば1次治療(ファストライン)の抗がん剤効果が乏しくなったなどは2次治療(セカンドライン)に移行します。 ゲノム検査で有効性のある薬剤が適応になるならよいのですが有用性のある薬剤の選択は少なくなります。 その次は、3次治療(サードライン)ですがそこまでの薬剤投与は、体力的にも副作用で難しくなります。

そうやって何度も繰り返し投与しているうち、ついには、あらゆる抗がん剤が有効性を示せなくなります。身体の免疫抵抗が壊滅状態になってきます。やがてほとんど治療効果がなくなったとき、患者さんが希望をもってなんとか治療を受けたいと願っても「これ以上、治療する手段がありません」といわれることになります。

抗がん剤治療を専門的に行うオンコロジスト(腫瘍内科医)だけではなく、がんにかかわる診断・治療などを行う医療従事者は抗がん剤治療を続け、進行がんの場合でも、あたかも標準治療のように、ぎりぎりまで抗がん剤治療を行うことです。抗がん剤の利益と副作用の不利益を患者さんと話をしてほしいとこです。


もちろん全ての抗がん剤治療を否定しているわけではありません。 抗がん剤治療を始めて腫瘍マーカーも下がり、パフォーマンスステータス(患者さんの日常生活の制限の指標)も向上した患者さんもたくさんいました。それでもギリギリまで標準治療を続けるのではなく、早期の緩和ケアの選択も大切です。その方がどれだけ患者さんに有意義な時間が取れるか。是非理解してほしいところです。在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院なども余裕を持って利用するのも一考です。 最悪のことを考えながらも、最善を尽くし、明るく生きたいものです

日本人の8割以上の方がが病院で死を迎えています。だからこそ医者の言葉は重く、患者さんや家族は医者の一言に一喜一憂します。それだけに医者の言葉は重いはずですが、全てにおいてきちんとした病状や治療方針が伝えられているということはありません。

私は、決してがんで悩める患者さんを惑わすために、いっている訳ではありません。純粋にいまのがん治療が「これでいいのか」という疑問を言葉にしているのです。

がんの告知や治療方針あるいは余命宣告が普通にはなりましたが、特に若い医者に多いのが患者・病気と真っ向から向き合う気持ちがないのか、患者さんの気持ちを無視している場合があります。当然本人は悪意はないのですが、普通だと思っていても患者さんの心は傷つきます。そんな相談も多いです。典型的なパソコンの画面を見て話す医者ですね。人間の心の微妙なことがわからないのです。

期待していたのに、自分の期待感より満足度が低いと、この気持ちが自分の中でストレス、不安感を生んでしまいます。 治療におけるやってほしいこと、やってほしくないことなど自分の考えを伝え、事前に医療者側と大筋で合意しておいた方が良いと思います。遠慮なく話すことでお互いの考えを明確化して、ふわっとした期待感による無用なすれ違いを起こさないことも大切なことです。

進行がん、再発がんは標準治療だけでは治癒はしない

人間の体は約60兆個の細胞でできており、全ての細胞には細胞周期があり、絶えず細胞分裂で新しい遺伝子を複製しています。 ところが、何らかの原因によって細胞の複製に必要な遺伝子にダメージが加わることで細胞が変異します。タンパク質、炎症性サイトカインも関与している場合もあり、がん細胞にとって、増殖する可能性のある環境が作られてしまうこともあります。全てが証明されているわけではありませんが発がん物質(放射線、化学物質など)の影響で遺伝子が突然変異することもあります。それ自体は健康な人でも日常起こっていると考えられています。そして変異した細胞の多くは免疫の力で体外に排除されますが、なかには異常増殖を引き起こすものもあります。 それが何年もの時間をかけて異常な増殖を繰り返して、がん細胞は塊(組織)になって「腫瘍」を形成します。全身のあらゆる場所に発生する可能性があります。

「原発巣」は、手術や集学的治療の進歩で、かなり治療可能になりました。原発巣が原因で死ぬことは少なくなりました。 転移したがんの増殖を抑えることができる方法が見つかれば、がんによる死亡率は激減します。しかし、転移するメカニズムはとても複雑で難しくその発症メカニズムは分かっていません。がん細胞に遺伝子変異が加わることによって、遠隔転移する能力を獲得するのか、それとももともとのがん細胞に最初から転移する能力があったのか現在の医学では、仮説はありますが、本当のことは分かりません。

証明するのは困難ですので、転移が認められない場合(画像検査でも10mm以下の転移巣を発見することはできませんので、正しくいうと転移巣があっても画像上発見ができない)、手術が選択され原発巣の摘出がおこなわれます。ですが原発巣を摘出しても数年後、再発することも珍しくはありません。術後補助療法としての抗がん剤を投与しますが、それでも再発するときは再発します。放射線療法も予防的効果は未知数です。

治療は固形がんの場合は手術が中心となり完治された方は多数います。ところが手術後、再発してしまった場合は深刻になります。患者さんの命を助けようと懸命に努力している医師、そして闘病生活を送っている患者さんに対しては申し訳ないのですが、多くの人が感じているように極端な言い方をすれば、これらの集学的治療は早期がん・転移しないがん、治るがん以外では限界に来ています。

確かに、腫瘍マーカーやCT、エコー、MRI、PETなどさまざまな検査方法が登場して精度が上がったため、病状の把握が可能になりました。

しかし、進行がんイコール末期がんではありませんが、標準治療だけでは治癒しないという事実を知ってほしいです。

悪性度の高い進行してしまったがんにおいては、どうしようもない状況は10年前、20年前、30年前と比較してもほとんど変わっていません。

手術後に再発をくりかえしたり、或いは手術が出来ないほど原発巣が隣接臓器まで浸潤していたり、遠隔転移している場合は化学療法オンコロジスト(腫瘍専門内科医)が治療にあたる事が望ましいと思いますが、まだ日本では腫瘍専門内科医の数が少ないのが現状です。

また最近では「分子標的薬」が使用されることも多くなってきました。しかし分子標的薬にも副作用の問題があります。しかも従来の化学療法の抗がん剤の副作用はある程度はパターンが分かっていたのですが、分子標的薬はより対応が難しい面があります。全てのがんではありませんが、がんが進行した場合、これらの治療方法は延命することを期待するしかない現状は長年変わっていません。

「免疫チェックポイント阻害薬」も有用率は約10%と期待値を下回っています。遺伝子変異に合う薬剤投与ができた患者さんは遺伝子検査を受けた方の全体の20%以下です。

国内の医療機関10カ所で免疫治療薬(がん細胞に直接作用するのではなく、がん細胞を抑制するTリンパ球に働きかける免疫療法の薬剤)の治験を実施した結果を2020年5月、 米国臨床腫瘍学会特別臨床科学シンポジウムで発表されました。原発巣特定できない原発不明がんは、非常に治療が難しいのですが、 商品名:オプジーボの投与により効果があった中央値は12・4カ月で、原発不明がんで最も一般的な治療法の約2倍の有用性があったとの報告がありました。一時的にがんが巣が小さくなったかどうかよりも、がんの進行を抑えられた期間が評価される時代です。

制約もありますが、遺伝子パネル検査で、たくさんの遺伝子変異を調べられるようになったので、将来有効な化学療法療にまでつなげることができる可能性もあります。

少数転移(オリゴメタスタシス)
大腸がん以外のがんではガイドライン等で、明確に記されていませんが、がん細胞が広範囲に転移する能力を獲得しておらず、少数個のがん巣の転移のみ存在する状態の患者さんが少数ですが、いるとも考えられています。 多くの種類のがんで認められ、転移しない限局がん、と多発転移する状態の中間的状態の少数転移(オリゴメタスタシス)と呼ばれています。しかし転移病巣に対する切除に対して、その確定診断法は定かになっていません。

最先端治療、新しい薬物療法も、最善の治療のことではありません。ランダム化比較試験(多くの手間がかかりますが、治療効果の程度を数字で表すことができます)が行われて、初めて有効性が証明されます。「ランダム」とは日本語で「無作為」と訳します。人為的な操作が入り込まないということを意味しています。一番信頼のおける臨床試験です。副作用や安全性も考慮して行われています。いくつかの臨床試験も毎年行われていますがそれでも承認される国産の抗がん剤は少ないです。

日本の行政は方向転換が苦手で、過ちを正すのにあまりにも時間をかけすぎるとこがあります。がんの罹患率、亡くなる方も増えています。これを高齢化にともなう現象として諦めて、受け入れるべきなのでしょうか。世界に共通する現象ならまだしも、海外に目を向ければ、アメリカなどは、がん(悪性新生物)死者数が減少に転じています。標準治療で、がん死者数の増加を食い止められないのであれば、抜本的な見直しを図るべきです。

通常のがん治療(標準治療)の有用性と限界を知りましょう

ほとんどの医者が患者さんに伝えていないことがあります。それは、再発・転移が見つかった時点で、治癒は難しいということです。基本的には完全に治すことはできなくなるのですが、けれど、はっきり伝えずに「がんが再発しました。でも引き続き治療をしていきましょう」とだけ伝える場合が多いのですが、 それで患者さんは「治療すれば治るんだ」と期待してしまいます。

再発・転移が見つかったということは、がんは全身病になります。どんな治療をしても、完全には治せず延命の効果しかないのです。

再発・転移がんを完治できないまでも、早く発見して抗がん剤、放射線で叩いた方が、 長生きできるのではないか、そう考えになるかもしれません。ところが、いくら早く転移がわかって早期に治療しても延命効果は、みなさんが考えているほどは期待はできません。

再発がんは、どこにできたがんにしろ治療は難しくなります。再発・転移を予防する薬剤、治療法はありません。CTやMRIは組織の形態を観察するための検査法で、PTE検査は生体の機能を観察することに特化した検査法ですががん巣の拡りがある程度わかるだけです。 わかるだけで治るわけではありません。

遺伝子を含む染色体、解析により、同じ人にできるがんでも進行する過程、転移の部位が変わるうちに原発とは別の遺伝子が発現することがわかってきました。薬物治療を翻弄するジレンマも出てきました。「遺伝子変異」は今や「多様性」と考えるべきです。 同じ臓器のがんであっても異なる複数の細胞によって構成されています。 これを「がん細胞の不均一性」といいます。「がん細胞の不均一性」を考慮しなくては、今の画一的な標準治療では十分な効果は期待できないと思います。遺伝子を含む染色体、解析により、同じ人にできるがんでも進行する過程あるいは、転移の部位が変わるうちに原発とは別の遺伝子が発現することがわかってきました。

これが抗がん剤に対してがん細胞が耐性を獲得する理由です。 最初は有用性もあり利益(ベネフィット)もありましたが後に、 必ず薬剤から生き延びるがん細胞がいますので増殖してきます。耐性でも間違いはありませんががん細胞の多様性があるからです


一般的に、術後、再発を抑えるためと称して抗がん剤による療法が行われることが多いのですが、再発する、しないは個人差あるいは、がん腫の違いがあります。 術後の抗がん剤を行うか否か、行う場合にはどれくらいの期間抗がん剤治療を行うことが、その方の利益(ベネフィット)なのかまだわかっていません。再発してしまう可能性が高い場合もありますが、再発の心配がほとんどないと考えられる場合もあります。それでも再発の抑制になるのかわかりませんが、抗がん剤の投与をする場合は多いです。遺伝子(ゲノム)検査で過剰な抗がん剤投与を控えるための研究も進んでいます。

生体にダメージを与えないで治療効果を出す本当の意味で個別化された、がん治療が求められています。 遺伝子を調べて薬物療法に役立てる検査「遺伝子パネル検査」も一部保険適用になりましたが、有効的な薬剤を投与できる割合は10%もありません。

現在、細胞のがん化については未だに解明されていません。生物学(自然界で生きているあらゆる「生物」を研究する学問)・医学(臨床・基礎研究)では、標準治療であろうと、革新的な治療であっても持続的な奏効をもたらすがんの治療法は存在しません。固形がんの場合、手術でがん巣を摘出あるいは放射線治療でがん細胞内の遺伝子(DNA)にダメージを与えてして消失させます。5年間以上再発がない場合だけ完治します。

がん治療は自分で納得して決めることも大切です

確かにがん巣が一つの臓器に留まっている限局では部分病との解釈もできるかもしれません。 当然ステージも低いので治癒できる可能性は高く治療法の第一選択も手術だけではありません。

手術でも手術支援ロボット、鏡視下手術術も普及してきました。またがん細胞だけにピンポイントで放射線を当てることも可能になり、薬物治療と併用することで高い治療効果を上げています。「分子標的治療薬」「免疫チェックポイント阻害薬」などは様々ながんの生存率を引き上げる可能性があります。がんと診断されたとき大切なことは全て病院任せ、医者任せにしないことです。積極的に治療法を医療者側から聞きましょう。そして治療法を納得して決めることも大切です。
 
原発巣から他の部位に転移した場合、がんは全身病になります。 治療手段も限られてきますので、患者さんの治療は同一には行えません。がん診療拠点病院では各種がんの生存率を公開しています。医療の透明性確保、患者さんの自己決定権の尊重があるからです。その上で治療法の決定に至る過程は様々ですがオーダメード治療が重要になってきます。

インフォームドコンセント「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」で納得のいく治療を選択しましょう。

がん細胞の遺伝子構造は一人一人異なり、一つとして同じがんの遺伝子はありません。

だから治療法も人それぞれ違う。標準治療でも「これが絶対」という治療法はないのです。

がんの転移には、がん幹細胞が関係していますが治療ではあまり考慮されません。

主治医とは納得できるまで話し合い信頼関係を築きましょう。主治医の個人的な意見に留まらず、考えられる治療法についての説明を受けましょう。そして、がんについての知識を集め納得する治療の選択をしましょう。

受けられる治療法の効果と限界、危険性や副作用を知りましょう。

できれば生涯付き合えるような信頼できる医師を選ぶことです。

私が医療の現場で気になるのは、インフォームド・コンセントについてです。説明と同意が大切なことだとわかりますが、その結果どうなったか。極端な例は医者は説明だけして、患者さんに決めさせるスタイルになってきました。
いままでは医者のいうままに副作用にも耐えて抗がん剤治療してきたのに、がんが進行して治療法が行き詰まってくると、あなたの選択肢はこれだけですから、あとは自分で決めてくださいと患者さんを困惑させるやり方です。

本来なら、治療の選択肢について、それぞれのメリットとデメリットを時間をかけて納得するまで説明し、そのうえでどうするかを一緒に考えていくのが医療者側の仕事ですがそれを機械的にやるものだから、さらに患者さんは突き放されたように受け止めてしまいます。

ほとんどの医者が再手術の対象にならない場合、化学療法を第一選択にします。そして体力的に化学療法を続けられなくなるとあるところでいきなり「もう治療法はありません」と精神的にも見放されてしまうのが日本のがん患者さんです。 その時点で緩和ケア医やホスピスを見つけるのも難しいですし、結果、多くの人が難民のようにさまよってしまうことになるのです。

治療法がない患者さんに向き合っていくスキルが日本の医療界にはないのです。「目標として、いいQOLを保ちながら、共存していきましょうと。」とはいうものの、最終的に自分で身の回りのことができなくなったときのことを想定して、病院で治療を継続するのか、在宅などの緩和ケアがいいのか、患者さんが考える機会、時間が少ないように思えます。 緩和ケアの大切さは以前から指摘されているのに、一向に進みません。

身体の痛みをとるだけではなく、がんの進行とともに生じる心のケアも重要です。医師は、患者さんとのコミニケーションが大事なのに不得意な人が多い印象があります。裁量権が比較的大きな職業なので、独占的になりやすいです。受診先を選択するときは、こうしたことを念頭に置き、自分に合った医師を見つけてください。

医療不信のような状況になっているのは、患者さんとのコミュニケーションがとれていないことも原因だと思います。

がん自由診療(代替療法)

「癌取扱い規約」に重みを置くことをしない医療機関は自由診療(代替療法)です。 統計的な医療に基づいた科学的根拠(エビデンス)、オーダーメイド医療)、日本癌治療学会などの専門領域の学会で作成している臓器別、がん診療ガイドライン(国内の医療者向けに各学会等で作成された、がん診療に関する規約)を無視しての治療は危険です。

「癌取扱い規約」に従って治療しても進行してしまう患者さんもいます。だからといって、保険適応とならないがん種までも自由診療では、免疫チェックポイント阻害薬などを投与します。免疫療法なども同じです。これでは長い時間をかけて臨床経験から作成された「癌取扱い規約」の意味が全くありません。


根拠の不確かな療法を勧めるWebサイトは患者さんの気持ちにつけ込む表現が多く治験で得られた薬剤は使用されていません。保険適用にならない高額の自由診療(代替療法)も多いです。「画期的」「最先端」などの言葉で、実験的な治療に誘導されてしまいます。このようなオーバーな表現を使った医療情報に患者さんは惑わされ営利目的のトンデモ医療に誘導されてしまうこともあります。誇張された表現を使うサイトを見ると、たいていは、営利目的のクリニックなどにリンクされています。

ステージに関係なく、とかく自由診療のクリニックでは同一の療法だけです。呼吸科の肺がんの患者さんにも、消化器科の胃がんの患者さんにも同じ療法をおこないますので、専門性はありません。

今のがん診療拠点病院が臓器別診療になっている意味を考えてほしいです。それと、最初の主治医がいる病院で、抗がん剤も併用した方が治療成績は向上するとも言いますがこれでは、効果がある、もしくはないことを確認する科学的根拠はありません。

ネットの情報も含めて、がんについての正しい情報が少ないことも誘因としてあります。がんを治したい人の弱みにつけこんで、情報を垂れ流しているのです。

標準治療の医師は、ステージが進んだ患者さんの立場を考慮した言葉使いはなかなか出来ていない場合もあります。患者さんと納得するまで話ができる時間もないことも問題です。再発したので「治ることは難しいと」はっきりいわれます。生存率を示されても数字の受け止め方には大きな開きがあります。

標準治療を受けることの重要性が数値的にも実証され ています。標準治療でなく代替療法を 選択した場合の生存期間は明らかに標準治療より劣ります。標準は平均的というニュァンスで受け取られて「もっと良い治療法があるのでは」と考え「特別な治療」を求めてしまいますが「標準治療」という言葉の意味も含めて、がん診療拠点病院などの医療者側のコミュニケーションも大切になってきます。

自由診療のクリニックの場合、療法とは別に話は聞いてくれます。100例に1例あるか、ないかの症例を持ち出して、〇〇療法は有用性があるとの結論です。患者さんもわかっているけど、自由診療のクリニックに行く動機になっていることも事実です。

日本では、未承認治療は、医師の資格があれば、専門領域に関係なく、自由診療として自由に患者さんに投与されているのです。平等に評価されていない治療であっても、自由に行えてしまうということです。


がん治療の現状 手術(外科治療)
がん治療の現状(化学療法・放射線)
がん治療の現状(がん治療の難しい理由)
がん治療サポート内容 最善のがん治療を受けるために
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がんの標準治療を選択するとき
がんの先進医療(精密医療)
重粒子線治療・陽子線治療
がん免疫療法
がんの発生のメカニズム
がん再発・転移
がん幹細胞