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がんの標準治療(標準治療を続けた場合)現代のがん医学は、進歩しているように見えますが、それはCT、MRI、PETなど大掛かりな機器を使用した診断が進歩しているだけです。検査のやり過ぎも問題があります。皮肉なことに大掛かりな検査機器がなかった時代の方が、圧倒的にがんの罹患率は少なかったです。

治療面は、相当前から手術や薬剤あるいは、放射線などに頼るしかなく、根治的な治療ができているわけではありません。専門分野も細分化されて専門分野もさらに細分化されてしまいました。

【目次】
がん標準治療を続けた場合
進行がん再発がんは標準治療だけでは治癒はしない
治療の有用性と限界を知りましょう
がん治療は自分で納得して決めることも大切です
がん自由診療(代替療法)

第一選択は手術です。手術を選択しても縮小手術が多くなってきました。原発の部位によっては術前、術後の抗がん剤投与のレジメン(がん薬物療法における抗がん薬、輸液、支持療法薬等を組み合わせた時系列的な治療計画をいいます)が組まれています。機能温存を考慮した場合、陽子線を含めた放射線治療を選択することもあります。

がん細胞の変異に合わせたより効果的な薬剤(分子標的薬など)を選んで治療するためのがんゲノム医療「がん遺伝子パネル検査」も最近普通になってきました。 それでも、検査結果を総合的に検討する「エキスパートパネル」でも有効率は10%くらいです。
がん遺伝子検査(がん遺伝子パネル検査)

異論がある方もいると思いますが、実際、医療が細分化される方向にはなっています。医療機器の進歩もありますし、医師の人数、薬剤の種類は増えたのに、年齢調整罹患率(高齢化の影響を除去するための、年齢調整)を考慮しても、がんに罹患する人、死亡率の総数は減っていません。 年齢調整罹患率などの言葉も前は使用していませんでした。総数(罹患率)は増えているのにがんの死亡率は減っていることになります。また5年生存率ですので、その時点で再発されて、闘病している方は含まれていません。

膨大な国民医療費が年間約43兆円で、その約20%が薬剤費です。薬剤には、副作用があることを忘れてはいけませんが、 抗がん剤治療を専門的に行うオンコロジスト(腫瘍内科医)だけではなく、がんにかかわる診断・治療などを行う医療従事者は抗がん剤治療を続けています。進行がんの場合でも、あたかも標準治療がすべてであるかのように、その治療だけを用いることです。

標準治療を否定するわけではありませんが、手術でがん巣を摘出すれば、かなりの治癒率が期待できるものの進行した段階で発見され、転移が見られるような場合には手術による治療は限界があります。

手術で治癒が望めない段階になっているときや再発したときなどには、抗がん剤治療や放射線治療が行われるのですが、一時的にがん巣を縮小することができても、多くの場合、決定的な治療法とはなりません。

問題は副作用です。白血球の減少などの骨髄抑制、腎機能の低下など、さまざまな副作用をともないます。また当初、抗がん剤でがん巣を小さくできても、やがてがん細胞のほうに耐性ができ、効かなくなります。再び腫瘤が増大してきたり遠隔転移も認められてくると、それまでの抗がん剤では抑えることができなくなりますから、違う抗がん剤を使用することになります。がん細胞の多様性があるからです。

そうやって何度も繰り返し投与しているうち、ついには、あらゆる抗がん剤が有効性を示せなくなります。身体の免疫抵抗が壊滅状態になってきます。やがてほとんど治療効果がなくなったとき、患者さんが希望をもってなんとか治療を受けたいと願っても「これ以上、治療する手段がありません」といわれることになります。

日本人の8割以上の方がが病院で死を迎えている現状です。だからこそ医者の言葉は重く、患者や家族は、医者の一言に一喜一憂します。それだけに医者の言葉は重いはずですが、全てにおいてきちんとした病状や治療方針が伝えられているということはありません。

私は、決してがんで悩める患者さんを惑わすために、いっている訳ではありません。純粋にいまのがん治療が「これでいいのか」という疑問を言葉にしているのです。

がんの告知や治療方針あるいは余命宣告が普通にはなりましたが、特に若い医者に多いのが患者・病気と真っ向から向き合う気持ちがないのか、患者さんの気持ちを無視している場合があります。当然本人は悪意はないのですが、普通だと思っていても患者さんの心は傷つきます。そんな相談も多いです。

典型的なパソコンの画面を見て話す医者ですね。人間の心の微妙なことがわからないのです。

もちろん全ての抗がん剤治療を否定しているわけではありません。 抗がん剤治療を始めて腫瘍マーカーも下がり、パフォーマンスステータス(患者さんの日常生活の制限の指標)も向上した患者さんもたくさんいました。

ギリギリまで標準治療を続けるのではなく、早期の緩和ケアの選択も大切です。その方がどれだけ患者さんに有意義な時間が取れるか。是非理解してほしいところです。在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院なども余裕を持って利用しましょう。最悪のことを考えながらも、最善を尽くし、明るく生きたいものです。

進行がん、再発がんは標準治療だけでは治癒はしない

「原発巣」は、手術や集学的治療の進歩で、かなり治療可能になりました。原発巣が原因で死ぬことは少なくなりました。 転移したがんの増殖を抑えることができる方法が見つかれば、がんによる死亡率は激減します。しかし、転移するメカニズムはとても複雑で難しいことなのです。 がん細胞に遺伝子変異が加わることによって、遠隔転移する能力を獲得するのか、それとももともとのがん細胞に最初から転移する能力があったのか現在の医学では、仮説はありますが、本当のことはわかりません。

証明するのは困難ですので、転移が認められない場合(画像検査でも10mm以下の転移巣を発見することはできませんので、正しくいうと転移巣があっても画像上発見ができない)、手術が選択され原発巣の摘出がおこなわれます。ですが原発巣を摘出しても数年後、再発することも珍しくはありません。術後補助療法としての抗がん剤を投与しますが、それでも再発するときは再発します。放射線療法も予防的効果は未知数です。

治療は固形がんの場合は手術が中心となり完治された方は多数います。ところが手術後、再発してしまった場合は深刻になります。患者さんの命を助けようと懸命に努力している医師、そして闘病生活を送っている患者さんに対しては申し訳ないのですが、多くの人が感じているように極端な言い方をすれば、これらの集学的治療は早期がん・転移しないがん、治るがん以外では限界に来ています。

確かに、腫瘍マーカーやCT、エコー、MRI、PETなどさまざまな検査方法が登場して精度が上がったため、病状の把握が可能になりました。

しかし、進行がんイコール末期がんではありませんが、標準治療だけでは治癒しないという事実を知ってほしいです。

悪性度の高い進行してしまったがんにおいては、どうしようもない状況は10年前、20年前、30年前と比較してもほとんど変わっていません。

手術後に再発をくりかえす、或いは手術が出来ないほど原発巣が隣接臓器まで浸潤していたり、遠隔転移している場合は化学療法オンコロジスト(腫瘍専門内科医)が治療にあたる事が望ましいと思いますが、まだ日本では腫瘍専門内科医の数が少ないのが現状です。

また最近では「分子標的薬」が使用されることも多くなってきましたが、全てのがんではありませんが、がんが進行した場合、これらの治療方法は延命することを期待するに過ぎない現状は長年変わっていません。

「免疫チェックポイント阻害薬」も有用率は約10%と期待値を下回っています。遺伝子変異に合う薬剤投与ができた患者さんは遺伝子検査を受けた方の全体の20%以下です。

国内の医療機関10カ所で免疫治療薬(商品名・オプジーボ)の治験を実施した結果を2020年5月、 米国臨床腫瘍学会特別臨床科学シンポジウムで発表されました。原発巣特定できない原発不明がんは、非常に治療が難しいのですが、 オプジーボの投与により効果があった中央値は12・4カ月で、原発不明がんで最も一般的な治療法の約2倍の有用性があったとの報告がありました。

制約もありますが、遺伝子パネル検査で、たくさんの遺伝子変異を調べられるようになったので、将来有効な化学療法療にまでつなげることができる可能性もあります。

少数転移(オリゴメタスタシス)
大腸がん以外のがんではガイドライン等で、明確に記されていませんが、がん細胞が広範囲に転移する能力を獲得しておらず、少数個のがん巣の転移のみ存在する状態の患者さんが少数ですが、いるとも考えられています。 多くの種類のがんで認められ、転移しない限局がん、と多発転移する状態の中間的状態の、少数転移(オリゴメタスタシス)と呼ばれています。しかし、転移病巣に対する切除に対して、その確定診断法は定かになっていません。

最先端治療、新しい化学療法も、最善の治療のことではありません。ランダム化比較試験(多くの手間がかかりますが、治療効果の程度を数字で表すことができます)が行われて、初めて有効性が証明されます。「ランダム」とは日本語で「無作為」と訳します。人為的な操作が入り込まないということを意味しています。一番信頼のおける臨床試験です。ですが、副作用のことはあまり考慮されていません。何でも延命率優先な気がします。

通常のがん治療(標準治療)の有用性と限界を知りましょう

ほとんどの医者が患者さんに伝えていないことがあります。それは、再発・転移が見つかった時点で、治癒は難しいということです。基本的には完全に治すことはできないんですが、けれど、それをいわずに、「がんが再発しました。でも引き続き治療をしていきましょう」とだけ伝える場合が多いのですが、 それで患者さんは「治療すれば治るんだ」と期待してしまいます。

再発・転移が見つかったということは、がんが全身病になっているということで、現在あるどんな治療をしても、残念ながら、完全には治せず、延命の効果しかないんです。

再発・転移がんを完治できないまでも、早く発見して抗がん剤、放射線で叩いた方が、 長生きできるのではないか、そう考えになるかもしれません。 ところが、いくら早く転移がわかって早期に治療しても延命効果は、みなさんが考えになっているほどは期待ができません。

再発がんは、どこにできたがんにしろ治療はむずかしくなります。 再発・転移を予防する薬剤、治療法はありません。 検査はわかるだけで治るわけではありません。

遺伝子を含む染色体、解析により、同じ人にできるがんでも進行する過程、転移の部位が変わるうちに原発とは別の遺伝子が発現することがわかってきました。薬物治療を翻弄するジレンマも出てきました。「遺伝子変異」は今や「多様性」と考えるべきです。 同じ臓器のがんであっても異なる複数の細胞によって構成されています。 これを「がん細胞の不均一性」といいます。 「がん細胞の不均一性」を考慮しなくては、今の画一的な標準治療では十分な効果は期待できないと思います。遺伝子を含む染色体、解析により、同じ人にできるがんでも進行する過程あるいは、転移の部位が変わるうちに原発とは別の遺伝子が発現することがわかってきました。

生体にダメージを与えないで治療効果を出す本当の意味で個別化された、がん治療が求められています。 遺伝子を調べて薬物療法に役立てる検査「遺伝子パネル検査」も一部保険適用になりましたが、有効的な薬剤を投与できる割合は20%もありません。

がん治療は自分で納得して決めることも大切です

がんになった時、大切なことは全て病院任せ、医者任せにしないこと。自分で納得して決めることが大切です。

インフォームドコンセント「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」で納得のいく治療を選択しましょう。

がん細胞の遺伝子構造は一人一人異なり、一つとして同じがんはありません。

だから治療法も人それぞれ違う。標準治療でも「これが絶対」という治療法はないのです。

がんの転移には、がん幹細胞が関係していますが治療ではあまり考慮されません。

主治医とは納得できるまで話し合い信頼関係を築きましょう。主治医の個人的な意見に留まらず、考えられる治療法についての説明を受けましょう。 そして、がんについての知識を集め納得する治療の選択をしましょう。

受けられる治療法の効果と限界、危険性や副作用を知りましょう。

できれば生涯付き合えるような信頼できる医師を選ぶことです。

私が医療の現場で気になるのは、インフォームド・コンセントについてです。説明と同意が大切なことだとわかりますが、その結果どうなったか。極端な例は医者は説明だけして、患者さんに決めさせるスタイルになってきました。
いままでは医者のいうままに副作用にも耐えて抗がん剤治療してきたのに、がんが進行して治療法が行き詰まってくると、あなたの選択肢はこれだけですから、あとは自分で決めてくださいと患者さんを困惑させるやり方です。

本来なら、治療の選択肢について、それぞれのメリットとデメリットを時間をかけて納得するまで説明し、そのうえでどうするかを一緒に考えていくのが医者の仕事ですが、それを機械的にやるものだから、さらに患者さんは突き放されたように受け止めてしまいます。

ほとんどの医者が再手術の対象にならない場合、化学療法を第一選択にします。そして体力的に化学療法を続けられなくなるとあるところでいきなり「もう治療法はありません」と精神的にも見放されてしまうのが日本のがん患者さんです。 その時点で緩和ケア医やホスピスを見つけるのも難しいですし、結果、多くの人が難民のようにさまよってしまうことになるのです。

治療法がない患者さんに向き合っていくスキルが日本の医療界にはないのです。 「目標として、いいQOLを保ちながら、共存していきましょうと。」とはいうものの、最終的に自分で身の回りのことができなくなったときのことを想定して、病院で治療を継続するのか、在宅などの緩和ケアがいいのか、患者さんが考える機会、時間が少ないように思えます。 緩和ケアの大切さは以前から指摘されているのに、一向に進みません。

身体の痛みをとるだけではなく、がんの進行とともに生じる心のケアも重要です。医師は、患者さんとのコミニケーションが大事なのに不得意な人が多い印象があります。自分に都合のよいことだけ話すこととは違いますが、裁量権が比較的大きな職業なので、独占的になりやすいです。受診先を選択するときは、こうしたことを念頭に置き、自分に合った医師を見つけてください。

医療不信のような状況になっているのは、患者さんとのコミュニケーションがとれていないことが原因だと思います。

がん自由診療(代替療法)

「癌取扱い規約」に重みを置くことをしない医療機関は自由診療(代替療法)です。 統計的な医療に基づいた科学的根拠(エビデンス)、オーダーメイド医療)、日本癌治療学会などの専門領域の学会 で作成している臓器別、がん診療ガイドライン(国内の医療者向けに各学会等で作成された、がん診療に関する規約)を無視しての治療は危険です。

「癌取扱い規約」に従って治療しても進行してしまう患者さんもいます。だからといって、保険適応とならないがん種にも自由診療では、免疫チェックポイント阻害薬などを投与します。免疫療法なども同じです。 これでは長い時間をかけて臨床経験から作成された「癌取扱い規約」の意味が全くありません。

根拠の不確かな療法を勧めるWebサイトは患者さんの気持ちにつけ込む表現が多く治験をなどしようともしません。保険適用にならない高額の自由診療(代替療法)も多いです。 「画期的」「最先端」などの言葉で、実験的な治療に誘導されてしまいます。このようなオーバーな表現を使った医療情報に患者さんは惑わされ営利目的のトンデモ医療に誘導されてしまうこともあります。誇張された表現を使うサイトを見ると、たいていは、営利目的のクリニックなどにリンクされています。

ネットの情報も含めて、がんについての正しい情報が少ないことも誘因としてあります。 がんを治したい人の弱みにつけこんで、情報を垂れ流しているのです。

標準治療を受けることの重要性が数値的にも実証され ています。標準治療でなく代替療法を 選択した場合の生存期間は明らかに標準治療より劣ります。標準は平均的というニュァンスで受け取られて「もっと良い治療法があるのでは」と考え「特別な治療」 を求めてしまいますが「標準治療」という言葉の意味も含めて、基幹病院などの医療者側のコミュニケーション も大切になってきます。

日本では、未承認治療は、医師の資格があれば、専門領域に関係なく、自由診療として自由に患者さんに投与されているのです。平等に評価されていない治療であっても、自由に行えてしまうということです。


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