<ホーム がん治療の現状 手術(外科治療)

がん治療の現状(外科療法)現在のがん治療の柱は、手術、薬物療法と放射線療法です。これらの良いところを組み合せて治療することを集学的治療ともいいます。

がん診療連携拠点病院の指定要件として、全ての患者さんが対象になるわけではありませんが、手術、放射線療法、薬物療法などにかかわる専門領域の医師、看護師など治療に携わるすべての医療関係者によって患者さんの治療方針について院内で定期的におこなわれる意見交換・共有・検討・確認をするカンファレンスの設置及び定期的に開催するキャンサーボードが位置づけられています。

がん専門病院だけではなく がん診療連携拠点病院などでは各科(外科・内科・放射線科など)「癌取扱い規約」のかきねをこえて多数の専門医で治療方針が決定されることが理想的です。治療方針に納得できます。

10年生存率
がん全体の10年生存率 国立がん研究センターは、2008年にがんと診断された人の10年後の生存率を2021年4月27日に発表しました。 専門的ながん治療を提供している全国240施設の約24万症例を対象にした調査で、これまでに発表された10年生存率の統計で、最も大規模なものでした。胃や大腸など、がん全体(男性・女性)で59・4%でした。生存率が最も低いのは膵臓がんで、6・5%。次いで、小細胞肺がん(9・1%)肝内胆管がん(10・9%)の順でした。 先進国の中で、罹患者数・死亡者数・がともに増え続けている国は日本だけです。2019年にがんで死亡した人は376,425人(男性220,339人、女性156,086人)です。

【目次】
がん治療の現状 手術(外科治療)
がん治療 手術
拡大手術から縮小手術になってきましたが
ひとすじに手術映像を究める!

多くの場合各臓器の癌取扱い規約(ガイドライン)に沿って、治療法の選択や治療効果を評価します。同じ臓器のがんでも細胞レベルでは多種多様であり、その種類が治療法の選択にも影響するので、病理医が、顕微鏡などでどんな性質の癌なのかを組織や細胞の形などから分類します。

「癌取扱い規約」に従うことで、共通の尺度での診断や治療が可能となるわけです。各臓器別の専門学会で数年毎にに見直しされて改正されます。 また、最近では遺伝子情報(がんゲノム医療)に基づくがんの「個別化治療」も行われています。遺伝子変異などのがんの特徴に合わせて個々にに適した「個別化治療」を行うことができるようになってきました。

画像診断、術前の細胞診、組織診などで、がん巣(がん細胞の組織の塊)が原発部位に留まっていると診断がついたなら、がん治療の根治的治療は手術です。 根治性を高めつつ、術後のQOL(生活の質)を考慮して機能を温存する低侵襲(ていしんしゅう)手術の鏡視下手術も普通になってきました。鏡視下手術(胸腔鏡、腹腔鏡を胸、お腹の中にいれ、モニターを見ながら手術を行います)や、ロボットアームを操作するロボット手術の代名詞になっている「da Vinci」(ダビンチサージカルシステム)もさらに進化しました。その推移は毎年増えています。耳鼻咽喉科の分野では内視鏡下手術も増えています。

手術器具を動かせる範囲に制限があるため難易度が高いことと、通常の手術より時間がかかる傾向がありますが、高解像度のモニターで、手術に参加している医師全員に詳細に手術の手技がわかります。通常の手術より小切開で、体にかかる負担が少ないので術後の回復が早いです。

さらにダヴィンチを用いた手術支援の「ロボット手術」では、内視鏡手術では難しいとされていた動き、視野が可能となり、さらに手術成績の向上が期待されます。

がん治療 手術

がん治療 外科療法 ダビンチ限られた部位の治療を「局所療法」といいます。初期治療の目的は、治癒をめざすことです。局所療法は手術(外科療法)と放射線療法があります。 手術は局所がんをどのように切除、摘出するかが主眼におかれています。

腹腔鏡下手術など低侵襲で行える手術術式が増えてきたことは朗報です。 腹腔鏡下手術が一般的になる前は、 腹腔鏡下手術は一部の施設でしか行われていませんでした。当時(25年くらい前)の学会での発表でも、30代くらいの若い医者が発表するときは、結語は「有用と思われる」と結んでいました。「有用である!」と私が勧めてもなかなか、その言葉は使えませんでした。昔ながらの医学会の雰囲気もありました。重要なようなポジションを占めている教授は50歳以上です。モニターを見ながら、手で臓器を触ることができない手術を後押しすることなど考えられなかったと思います。

それが今は、デバイス(使用する器具)等の発展、手技の工夫もあり現代は普通になってきました。腹腔鏡下手術で使用するデバイスは、国産は非常に少なくアメリカ製がほとんどです。そのころの外資系の会社からの手術映像の制作は多く、メジャーな学会でブランド病院の医者が学会のシンポジウムでの発表は評判がよかったです。技術を習得するのに経験を要しますが、今や腹腔鏡下手術ができない基幹病院はありません。
ダヴィンチを用いた「ロボット手術」も行われています。しかし、全ての症例に適応になるのではなく、従来の術式の方が優れているメリットもあります。

固形がんの場合、第1選択は手術です。がん巣が、局所にしか存在しなければ切除、摘出できれば確実に治るからです。麻酔学の発展により安全に手術することができ、またQOLを考慮した再建法の術式も少しずつ進んできました。

一方、症例にもよりますが、手術は成功したのに再発する場合もあります。CTなどの画像上でがん巣が見えなくなっても、微小ながん細胞が残っている可能性もあります。手術は、検査で確認されているがん巣を含んだ臓器の切除、摘出と所属リンパ節、周囲のリンパ節の郭清です。隣接する臓器にがんの微少転移があるかどうか、術中迅速病理診断、術後の病理診断をします。切除断端が陰性(Cancer negative)、洗浄細胞診が陰性でも数年後に再発しないとはいえないのです。 それは難易度の高い手術が成功しても、検査では、存在を確認することができないほど微少な遠隔転移があったとたと考えざるを得ないです。実際の手術症例では、外科系の医者は何度も経験しています。

そのため術後、化学療法、放射線療法などの補助療法としておこなうこともあります。患者さんの年齢、体力、臓器の温存など種々の要因で、放射線療法を選択したほうがよいこともあります。 放射線療法の技術も格段に進歩を遂げており、手術と同等の効果が期待できる場合もあります。 ただし臓器によって放射線に対する感受性が異なりますので、原発巣がどこのがんかによって違います。

手術でがん巣を完全に摘出できる場合、根治的手術の適応になります。「がんの根治性」「臓器の機能温存」「治療の安全性」の要素から判断します。 手術を受けると、なにかを犠牲にしなければならない場合も出てきます。患者さんも、主治医にどんな手術でどんな後遺症が残るのかを質問して、自分の意見を伝えることも必要だと思っています。

手術手技も拡大手術から腹腔鏡手術を始めとした縮小手術に向かっています。手術で用いる新しい器機の登場により手術時間も短くなり術後の合併症も少なくなりました。麻酔学の発展も寄与していることも忘れてはいけませんが。 自覚症状がなくても検診などで1センチ以下のがんでも、発見されたら手術が第1選択になります。内視鏡手術の適応になる場合もあります。しかし、固形がんでは病理検査でがんと確定診断された場合経過観察にはなりません。

早期と言われているがんでも、手術して病変を切除して、検体の病理検査で切除断端も陰性また所属リンパ節にもがんの転移がなくても、数年後に再発する場合があります「がん幹細胞」の存在があるからです。 がんが発見されたとき転移するのかしないのか、あるいは手術したことによってすでに転移している微小ながんが増大するのか今の医学ではわかりません。

がんは転移がなければ恐い病気ではないのですが、日本人の平均寿命が伸びているとはいえ、結果的にがんは1981年以降ずっと日本人の死因第1位で、生涯に約2人に1人ががんと診断されています。

拡大手術から縮小手術になってきましたが

20年位前まではがんを確実に切除するために周囲を大きく切除する拡大手術がが主流でした。
重要なのは手術の時点でのがん巣の状況が局所疾患か浸潤しているのかなどであって、がん細胞が広がってない安全なマージンは必要ですが、進達度が進行していなければ、局所の切除で十分です。またすべての症例で適応可能ではありませんが低侵襲な腹腔鏡下手術、ロボット手術もおこなわれています。

しかし大きく広がっている場合は、たとえ切除、摘出が可能でもがんは既に全身病になっている場合が多く、手術した場合には術後のQOLが著しく低下します。

今はほとんどの医療機関でがんが進行していない場合は縮小手術がおこなわれつつあります。たとえば乳がんであれば20年位前は全摘した症例がほとんどでしたが、腫瘍の大きさや進行度などを考慮して今は温存手術が主流になっています。それでも術前の抗がん剤治療と放射線治療も行う場合もあります。また術後も抗がん剤、放射線さらにホルモン療法を行うこともあります。それでも数年後に再発(局部再発・遠隔転移)される方もいます。乳がんは5年後も再発する可能性は高いので、抗がん剤、ホルモン療法の継続的投与(5年〜10年)を続けますが、再発する理由を論理的に言い切れる医者はいません。

胃がんであれば切除あるいは胃全摘した場合、リンパ節の郭清範囲が20年位前は臓器の所属リンパ節の2群(D2)あるいはD3までの拡大手術が行われていました。スキルス胃がんも術前に抗がん剤の投与を行ってから手術をします。術後も継続的に抗がん剤の服用もありますが、それでも再発します。 逆に抗がん剤の服用をしていない方で5年以上経過しても再発しない方もいます。 抗がん剤の服用していた方のほうが再発率が数%違うだけです。 抗がん剤の服用ですから長期に渡った場合副作用が出ます。

必ずしも「拡大手術」は利益がないわけではありませんが最近は薬物療法が進歩してきました。無理に手術をして、薬物療法ができなくなることのほうが不利益になります。多くの場合、「拡大手術」から「縮小手術」になってきた背景には手術で用いる医療機器の進歩もありますが、拡大手術でも縮小手術でも手術後の治療成績は変わらないということが実証されたからです。

コントロール臨床試験(従来の標準療法との比較試験として行われることが多く正確性が実証できる)で調査した結果、乳がんの手術も拡大手術から乳房を温存する縮小手術に変わってきています。日本人に多い肺がん・胃がん・大腸がんなども縮小手術になってきました。

腹腔鏡下手術や、より正確な手技を可能にした手術支援ロボット『ダヴィンチ』などが登場しました。 しかし腹腔鏡による肝臓切除手術で死亡事故が多発した ケースもありリスクもあります。肝臓・膵臓など実質臓器の切除など、腹腔鏡手術では難しいケースもあります。例えば、子宮頸がんでは従来「広範・準広範子宮全摘手術」の開腹手術が行われてきました。それでは、新しい腹腔鏡手術・ロボット支援手術よりの方が術後の治療成績がよいかというと、そんなことはありません。再発せずに治癒している割合が高いのは従来の開腹手術の術式です。子宮頸がんに罹患される方も多いのですが、腹腔鏡手術・ロボット支援手術では、あきらかに再発が多いので、その術式の選択はしないと思いますが、もし勧められたなら断ってください。現状「広範子宮全摘手術」では従来の開腹手術の術式が推奨されています。ただ新しいからとかで決めずに主治医と納得する話をしてください。その上で神経も温存できるか、できないかも相談してください。

部位にもよりますが、腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術の適応になったとしても傷が小さい、入院日数が短いなどの理由だけで選択してほしくないと思います。 進行したがんに対しては、高い技術力が必要な手術もあるからです。個々の患者さんの状態を鑑みて納得する選択をすることです。ロボット支援手術を取り入れていない外科病院は、今後たちゆかなくなる可能性がありますが、医師の趣味に付き合う必要はありません。

ひとすじに手術映像を究める!これが私のモットーです

私は、長年に渡りがん治療の最前線で各領域の医学学会での手術症例の制作に携わってきました。 2,000症例を超える経験からの言葉です。

癌研究会付属病院(現がん研有明病院)などの専門病院、大学病院での多数の実績があります。 中川 健先生(元がん研有明病院院長・現名誉院長)の監修のもと一般向け「がん、治癒への闘い Vol.1 肺癌編 」など多数あります。 がん、治癒への闘い Vol.2 胃癌編 「癌研究会付属病院外科高橋 孝先生監修」、治癒への闘い Vol.3 大腸癌編 「癌研究会付属病院外科高橋 孝先生監修」

東京大学医学部付属病院、がん研有明病院はじめ専門領域の学会からの制作があります。教育用の「手術手技シリーズ」も領域別に多数の制作があります。その過程で多くの各領域の医師と出会い、個人的にも医師の本音での話も聞き、多くの医学学会に参加してがんについての知見を多く得る事ができました。

もちろん今でも大学病院やがんの専門病院での学術映像(手術手技)の制作をしておりますし、医学専門書の資料作成もしております。「手術映像制作」か「手術撮影 編集」で検索してみてください。
手術映像制作


がん治療現状(外科療法) がん薬物療法・放射線治療ですがん治療の難しい理由がん薬物療法・放射線治療です

がん治療の現状 手術(外科治療)
がん治療の現状(化学療法・放射線)
がん治療の現状(がん治療の難しい理由)
がん治療サポート内容 最善のがん治療を受けるために
「がん治療相談」がん治療アドバイザーによるサポート
がんの標準治療を選択するとき
がんの先進医療(精密医療)
重粒子線治療・陽子線治療
がん免疫療法
がんの発生のメカニズム
がんの再発・転移
がん幹細胞