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自由診療は標準治療以外の医療行為の総称です一部の先進医療(放射線の一種である粒子線「陽子線」、有望な治療法である可能性が示唆されて有用性・安全性の確立した化学療法など)で保険との併用が認められているケースもあります。厚生労働省が承認していない治療法ですので公的医療保険による医療費負担は適用されず、治療費が全額自己負担となります。

多くの場合自由診療で行なっている代替医療は標準治療以外の医療行為の総称です。

免疫療法でも、効果が証明されて保険適用になっている免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)と さまざまな療法を含む「広義」の免疫療法があります。広義の免疫療法は効果は証明されておりません。そのため自由診療では全額治療費を支払ます。

【目次】
標準治療以上に自由診療(代替療法)の治療成績がよいということではありません
がん自由診療
免疫療法・遺伝子療法などの自由診療に誘導されやすくなります
持続的な奏効をもたらすがんの治療法は存在しません
がん治療アドバイザーのサポート

がんの診断技術はハイテク化されたCT・MRIさらに内視鏡・超音波検査などの機器で画像診断技術が飛躍的に向上してきました。診断・治療レベルが上がってきているのにもかかわらずがんは罹患率、死亡率ともに増加傾向にあります。先端医療、新薬の開発などで不治の病ではなくなってきたと言葉の上では確かにそうなのですが、現状は深刻です。

ステージが進んでくると標準治療でも治癒率が低下する現実があり、完治が難しくなってきます。だからといって自由診療が標準治療以上に治療成績がよいということではありません。がん自由診療を受けている患者さんには大変申し訳ありませんが自由診療以外の大学病院、がん専門病院で治療を受けている患者さんは、不利益を被っていることになります。 当然のことですが決してそんなことはありません。

平成30年6月1日から改正医療法による新広告規制により、自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項に ついて情報を提供すること。さらに、自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供することが法令による規制が始まっています。

有用とは言い難い情報を、患者さん等に著しい誤認を生じさせる、体験談の広告は禁止されることとなりました。 自由診療の誇大広告はできなくなったということです。そのため自由診療をしているクリニックは無料の「がん最新情報」「がん相談」などのサイトを 設立したり、第三者のサイトと契約して患者さんの誘導をしています。

がん自由診療(代替療法)

エビデンスレベル 広義のがん免疫療法は「樹状細胞ワクチン療法」や「ペプチドワクチン療法」また「遺伝子療法」などあります。自由診療(保険適用にはなっていない療法)では「副作用の心配が少ない」「がん細胞のみ攻撃する」手術、抗がん剤、放射線療法の標準治療と組み合わせて相乗効果を狙う療法ともありますが、 有用性は証明されていません。治療に関するエビデンスレベルもレベル4(観察研究)の段階です

「癌取扱い規約」に重みを置くことをしない医療機関は自由診療(代替療法)です。 統計的な医療に基づいた科学的根拠(エビデンス)を示すことは現在もできていません。

日本癌治療学会などの専門領域の学会で作成している臓器別、オーダーメイド医療、がん診療ガイドライン(国内の医療者向けに各学会等で作成された、がん診療に関する規約)を無視しての治療は危険です。

「癌取扱い規約」に従って治療しても進行してしまう患者さんもいますが、だからといって、将来「ゲノム医療」の対象になるかの臨床試験中の薬剤も自由診療では、臨床試験の結果がでていなくても、免疫チェックポイント阻害薬なども投与します。また前々から行われている免疫療法も同じです。これでは長い時間をかけて臨床経験から作成された「癌取扱い規約」の意味が全くありません。

エビデンスレベルの高い研究手法に「ランダム化比較試験」があります。研究の対象者を2つ以上のグループに無作為(ランダム)に分け、薬剤・治療法などの有用性を検証する試験です。厳密に自由診療(代替療法)ではランダム化比較試験は行われた記録はありません。また「がん関連遺伝子」に変異があるかどうかを解析する「がん遺伝子パネル検査」もおこなわれていません。 前の病院の「がん遺伝子パネル検査」の結果を知らせても、同一の療法をおこないます。特に「遺伝子治療・療法」をおこなう場合、最先端の遺伝子を解析するゲノム検査の結果を重視しないです。

ゲノム医療の成果として、すべてのがんに適用できるわけではないものの、アメリカで行われた小規模な臨床試験で特定(DNAのエラーMMRd)のタイプの直腸がんの患者さん18名において、 ドスタリマブを従来よりも早い段階で投与したところ、投薬開始から6ヶ月後までに18名全員のケースで腫瘍が消失していることが確認されました。 2年経っても再発せず、複数の検査で消失を確認できました。今後、胃がんや前立腺がん、膵臓がんなどの治験を視野に入れているとのことです。 2022年6月5、医学ジャーナル「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に掲載されました。 手術、放射線などの侵襲的な治療では、身体機能の一部を喪失するリスクが伴うこともありますが投薬のみで寛解すると、正常な身体機能が今後も維持できることになります。

エビデンスは科学的証拠と理解している人が多いのですが辞書には「その時点で入手できる情報、事実に基づいた妥当か否かの判断」とあります。状況により覆ることも含んだ概念と理解できます。複数のグループにランダムに分ける手法では非人道的ながんの臨床試験などできるはずがないのです。治療を受ける前に「ランダム化比較試験」の評価があるなら確かめてください。エビデンスレベルの低い論説、個人的な意見や考え、ケースレポート(症例報告)くらいです。

根拠の不確かな療法を勧めるWebサイトは患者さんの気持ちにつけ込む表現が多く治験で得られた薬剤は使用されていません。保険適用にならない高額の自由診療(代替療法)も多いです。「画期的」「最先端」などの言葉で、実験的な治療に誘導されてしまいます。このようなオーバーな表現を使った医療情報に患者さんは惑わされ営利目的のトンデモ医療に誘導されてしまうこともあります。誇張された表現を使うサイトを見ると、たいていは、営利目的のクリニックなどにリンクされています。

ステージに関係なく、とかく自由診療のクリニックでは同一の療法が中心になります。呼吸科の肺がんの患者さんにも、消化器科の胃がんの患者さんにも同じ療法をおこないますので、臓器別の専門性はありません。

今のがん診療拠点病院が臓器別診療になっている意味を考えてほしいです。抗がん剤も併用した方が治療成績は向上するとも言いますがこれでは、効果がある、もしくはないことを確認する科学的根拠はありません。

ネットの情報も含めて、正しい情報も多く掲載されていますがその情報自体、自分に適しているかどうかの判断は正直わかりません。標準治療の医師は、ステージが進んだ患者さんの立場を考慮した言葉使いはなかなか出来ていない場合もあります。患者さんと納得するまで話ができる時間もないことも問題です。再発した場合「治ることは難しいと」はっきりいわれます。生存率を示されても数字の受け止め方には大きな開きがあります。標準治療を受けることの重要性は数値的にも実証されています。

標準治療でなく代替療法を 選択した場合の生存期間は明らかに標準治療より劣ります。標準は平均的というニュァンスで受け取られて「もっと良い治療法があるのでは」と考え「特別な治療」を求めてしまいますが「標準治療」という言葉の意味も含めて、がん診療拠点病院などの医療者側のコミュニケーションも大切になってきます。

自由診療のクリニックの場合、そこで行われている療法とは別に話は聞いてくれます。100例に1例あるか、ないかの症例を持ち出して、〇〇療法は有用性があるとの結論です。患者さんもわかっているけど、自由診療のクリニックに行く動機になっていることも事実です。

日本では、未承認治療は、医師の資格があれば、専門領域に関係なく、自由診療として自由に患者さんに投与されています。平等に評価されていない治療、薬剤であっても、自由に行えてしまうということです。

「未承認薬」を、有用性があるか、安全性であるかなどまだ科学的に、確認がされていない薬剤でも、院内処方として投与することてができます。 標準治療より広く有用性があるなら治験の対象に入るのが普通です。

免疫療法・遺伝子療法などの自由診療に誘導されやすくなります

抗がん剤治療の副作用で苦しんだ身内を見たことのある方のなかでは、最初から「抗がん剤治療はやりたくない」という患者さんもいます。ですから「標準治療・抗がん剤・副作用」その情報だけに執着してけてしまうと免疫療法などの自由診療に誘導されやすくなります。

「抗がん剤がアメリカや欧米諸国では使われなくなってきている」とかいっているサイトもありますが、確実に抗がん剤が有効に作用する場合が多いのに結局、他の自由診療に誘導する手段として姑息な言葉を用います。

サイトの相談員をがん専門医療コーディネーターと認定するのかまわないですが、あまりにも知識、経験が無さすぎます。それでも、何かできる治療はないかと探して連絡する患者さんですから、信用してしまう人もいるのではないのかと感じます。

私見ですが、自由診療で行う免疫療法などの有用性はないと思っております。標準治療でも治療のやり過ぎも怖いのですが、危ない代替医療に頼っていくほうが危険だと思っております。標準治療より自由診療が優っている証拠はありません。「根治できない」ことは「治療できない」ことではありませんが有用性(エビデンス)が証明されていない治療はときとして不要な治療になることもあります。

「ペプチドワクチン」「樹状細胞ワクチン」などの免疫療法は、医療として確立されたものではなく 効果が証明されていない療法です。

未承認医薬品(公的にみとめられ承認を得ていないもの)でも医者の裁量で院内調剤(医薬品規格が異なる医薬品や試薬などを原料として調製する。外部の業者でも可能)として使用することができます。

2021年厚生労働省 作成の「医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書 」

持続的な奏効をもたらすがんの治療法は存在しません

標準治療では、再発や転移を防ぐ目的で抗がん剤を使用するレジメン(治療計画)が多くあります。プレシジョン・メディシン(精密医療)とかファンデーション・ワン(がん遺伝子パネル検査)などありますが革新的な検査法、治療であっても持続的な奏効をもたらすがんの治療法は存在しません。過去の多くの患者さんの症例経験により、現時点で最良の治療法は、ほぼ決まっています。

医療のあり方は科学的根拠(evidence)に基づくものであると信じられており、それを標準治療(EBM)という名称で呼んでいます。

西洋医学と東洋医学の違いはありますが自由診療ではどちらに属すのかわかりません。 自由診療を行なっているクリニックでは、「標準治療では不十分な方などに、標準治療以外の治療も必要になってきます」は、よく使用される言葉です。

そして治療に際しては事前に十分な説明を行うとのことですが、患者さん個人ではなくがん専門医が集まる医学学会(日本癌学会、日本癌治療学会など)で、説得力ある発表を行う所は見たことはありません。
医学学会で発表する臨床研究報告は、今後の研究、治療について専門医に知ってもらい、治療方法を改善するためにフィードバックをもら場でもあります。

ほとんどの場合、保険適用になっていない薬剤は海外(中国など)からの輸入が多いのも事実です。自由診療の医療は、使用している薬剤を卸している業者任せが多いです。

がん治療アドバイザーのサポート

医師に勧められた治療法は最善なものか、ほかの選択肢はないのか、あるいは再発をしてしまったけど他の治療法はないのか、アドバイザーに相談することも有用だと思います。がん治療アドバイザーが的確な領域の医師に連絡をとり病状等を伝え、患者さんにお知らせすることも可能です。各大学病院の医師などサポートしていただける医師は多数いますが、国公立の医師の立場上、お名前はお伝えできないことをご理解ください。

40年間に渡りオリジナルの手術手技の制作、医学学会でのビデオセクションなど、手術症例は2000症例以上の経験、制作実績があります。

がんという病気は、その経過が良好であれ、不良であれ長い時間の経過が伴うことが多く患者さんはその間、何度となく医者からの経過説明を聞くことになります。医者が限られた時間のなかで丁寧に話をしてくれても患者さんは全てにおいて納得することは、難しいこともあります。後になって考えると「説明内容はよく覚えていない」、「自分の考えを伝えたかった」、つい遠慮してしまいききのがすなど、ということも多いのです。

医者は本当の意味で心のケアを含めて治療をしているといえるかどうか、今の医療システムでは1人の患者さんに十分に時間をかけることができません。そして末期の場合「これ以上治療法はない」が前提になります。

がんという病気の情報は絶対に必要です。それも正しい情報です。できることならこの情報化の時代、病院の組織を超えてその人だけの最強医師団を作りたいとも思っております。


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