がん治療の現状

がん治療現在のがん治療の柱は、手術と化学療法と放射線療法です。これらの良いところを組み合せて治療することを集学的治療ともいいます。

がん診療連携拠点病院の指定要件として、全ての患者さんが対象になるわけではありませんがキャンサーボードの設置及び定期的開催が位置づけられています。キャンサーボードをとり入れている総合病院などでは一人の患者さんを外科医、内科医、放射線科医(放射線治療だけではなく画像診断も含めて)或いは病理の専門医など、各科のかきねをこえて多数の専門医で治療方針が決定されます。

しかし現状は、各臓器の癌取扱い規約(ガイドライン)に沿って標準治療を主治医が中心的に行う場合が多いのが現状です。 標準治療・チーム医療は、全身状態が良い患者さん、悪い患者さんにも同一の治療法になる場合があります。

治療は固形がんの場合は手術が中心となり完治された方は多数います。ところが手術後、再発してしまった場合は深刻になります。患者さんの命を助けようと懸命に努力している医師、そして闘病生活を送っている患者さんに対しては申し訳ないのですが、多くの人が感じているように極端な言い方をすれば、これらの集学的治療は早期がん・転移しないがん、治るがん以外では限界に来ています。

確かに、腫瘍マーカーやCT、エコー、MRI、PETなどさまざまな検査方法が登場して精度が上がったため、病状の把握が可能になりました。

しかし、進行がんは標準治療だけでは治癒しないという事実を知ってほしいです。

悪性度の高い進行してしまったがんにおいては、どうしようもない状況は10年前、20年前、30年前と比較してもほとんど変わっていません。

手術後に再発をくりかえす、或いは手術が出来ないほど原発巣が隣接臓器まで浸潤していたり、遠隔転移している場合は化学療法オンコロジスト(腫瘍専門内科医)が治療にあたる事が望ましいと思いますが、まだ日本では腫瘍専門内科医の数が少ないのが現状です。

また最近では分子標的薬も使用されることも多くなってきましたが、全てのがんではありませんが、がんが進行した場合、これらの治療方法は少しばかり延命することを期待するに過ぎない現状は長年変わっていません。

最先端治療、新しい化学療法も、最善の治療のことではありません。ランダム化比較試験が行われて、初めて有効性が証明されます。

がん治療 手術

限られた部位の治療を「局所療法」といいます。がんの根治療法の主体もこの局所療法で、局所がんをどのように切除、摘出するかが主眼におかれています。

局所療法は手術(外科療法)と放射線療法があります。

固形がんの場合、第1選択は手術です。本当にがんが、局所にしか存在しなければ切除、摘出できれば確実に治るからです。

一方、放射線療法では画像上がん巣が見えなくなっても、微小ながん細胞が残っている可能性もあります。局所療法として放射線療法より手術の方が優れているということになります。

全て手術がよいわけではありません。患者さんの年齢、体力、臓器の温存など種々の要因で、放射線療法を選択したほうがよいこともあります。

放射線療法の技術も格段に進歩を遂げており、手術と同等の効果が期待できる場合もあります。

ただし臓器によって放射線に対する感受性が異なりますので、原発巣がどこのがんかによって違います。

手術すれば、治る可能性があれば、手術適応になります。「がんの根治性」「臓器の機能温存」「治療の安全性」の要素から判断します。

手術を受けると、なにかを犠牲にしなければならない場合も出てきます。患者さんも、医者に、しっかりと、どんな手術でどんな後遺症が残るのかを質問して、自分の意見を伝えることも必要だと思っています。

手術手技も拡大手術から腹腔鏡手術を始めとした縮小手術に向かっています。手術で用いる新式の器機の登場により手術時間も短くなり術後の合併症も少なくなりました。麻酔学の発展も寄与していることも忘れてはいけませんが。

自覚症状がなくても検診などで固形がんでは1センチ以下のがんでも、発見されたら手術が第1選択になります。
術前に全身の検査はするのですが、他に微小ながんの転移が発見されなくてもすでに転移しているかもしれません。

手術して病変を切除しても、早期と言われているがんでも、その後数年のうちに転移が発見されることもあります。

がんが発見されたとき転移するのかしないのか、あるいは手術したことによってすでに転移している微小ながんが増大するのか今の医学ではわかりません。

手術をする前に少し考える時間がほしいと思います。放射線治療を第1選択する可能性もあります。

拡大手術から縮小手術になってきましたが

15年位前まで拡大手術が主流でした。

重要なのは手術の時点でのがん巣の状況(局所疾患か浸潤しているのかなど)であって、手術でどこまで切除、摘出するかではなく局所の場合には、がんが広がってない安全なマージンは必要ですが、局所の切除で十分です。

しかし大きく広がっている場合は、たとえ切除、摘出が可能でもがんは既に全身病になっている場合が多く、手術した場合には術後のQOLが著しく低下します。

今はほとんどの医療機関でがんが進行していない場合は縮小手術がおこなわれつつあります。たとえば乳がんであれば15年位前は全摘した症例がほとんどでしたが、腫瘍の大きさや進行度などを考慮して今は温存手術が主流になっています。

胃がんであれば切除あるいは胃全摘した場合、リンパ節の郭清範囲が15年位前は臓器の所属リンパ節の2群(D2)あるいはD3までの拡大手術が行われていました。

今は早期であればそれ以下になっています。またすべての症例で適応可能ではありませんが低侵襲な腹腔鏡下手術もおこなわれています。

拡大手術から縮小手術になってきた背景には手術で用いる医療機器の進歩もありますが、拡大手術でも縮小手術でも手術後の治療成績は変わらないということが実証されたからです。

コントロール臨床試験で調査した結果、乳がんの手術も拡大手術から乳房を温存する縮小手術に変わってきています。

内視鏡を体内に入れて行う内視鏡下手術や、より正確な手技を可能にした手術支援ロボット『ダヴィンチ』などが登場しました。

しかし腹腔鏡による肝臓切除手術で死亡事故が多発した ケースもあり、リスクもあります。肝臓・膵臓など実質臓器の切除など、腹腔鏡手術では難しいケースもあります。

部位にもよりますが、腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術の適応になったとしても傷が小さい、入院日数が短いなどの理由だけで選択してほしくないと思います。 高い技術力が必要な手術もあるからです。。

がん治療 化学療法(抗がん剤、分子標的薬)

一般に使われている化学療法(抗がん剤、分子標的薬)は約50種類ほどです。 白血病、リンパ腫や一部のがんでは治癒が期待できます。しかし化学療法で治癒するのでことができないがんも多く、この場合手術は放射線療法との併用治療になります。 手術、放射線療法も適応にならない方(主に固形がん)は化学療法が第一選択になります。

がん治療において薬物療法が、がん治療の主役(第一選択)になりきれない理由の一つは、副作用にあります。 抗がん剤は、がん細胞のみならず、正常な細胞にも作用してしまいます。

そのため、化学療法はがん細胞にだけ作用して正常な組織、 細胞には作用しない「選択的毒性」が高い薬剤ほど、副作用はが少なく効果が上がります。 より副作用を抑えるために多剤併用療法も行われています。

しかし、がん細胞はもともと体内から生じた細胞だけに、正常細胞との違いは少なく抗がん剤に「選択的毒性」の作用を持たせることは容易ではありません。現在まで使用されている抗がん剤は、この「選択的毒性」があるため、それを高める工夫が研究されています。

抗がん剤(化学療法)の面では抗がん剤の感受性テスト導入により以前よりも副作用も少なくなってきました。ヒトゲノム計画が完了してどの遺伝子が壊れてがんになった場合にはどの抗がん剤とのかけ合わせが最も有効であるかというデータを基にして、個々に最適な抗がん剤治療もできるようになってきました。

それでも何らかの副作用が出現します。予測できない重篤な副作用が起きてしまう可能性もあります。

抗がん剤を受ける理由は、抗がん剤の主作用(ベネフィット)を重視しているからです。また適切な化学療法によって、多くの患者さんが利益を得ています。

抗がん剤治療は全てのがんに「効く」あるいは「有効」と「治る」はおおきな違いがある事や副作用も必ずあるものと考えてほしいものです。利益と不利益のバランスを考えましょう。

化学療法は「アルキル化剤」「代謝拮抗剤」「植物アルカロイド」などに分類されます。

アルキル化剤は、毒ガスの研究から開発された薬剤です。細胞の増殖に関して重要な役割を果たしているDNA(デオキシリボ核酸)に作用して細胞を死滅させる働きがあります。 DNAは普通、核塩基が対になって2本の鎖状に結合してらせん状にねじれている構造になっています。二本鎖構造ともいいます。

アルキル化剤は、この正常な結合を異常な結合をつくり変えます。その過程でDNAの遺伝情報が阻害され、DNAそのものも阻害されるので細胞分裂を起こすとき結合の箇所でDNAはちぎれて細胞は死滅します。一定の血中濃度になると作用時間が短くても確実に作用します。しかし「正常細胞への影響」も避けられません。
商品名「エンドキサン」「ダカルバジン」「テモダール」など

代謝拮抗剤は、増殖の盛んながん細胞に多く含まれている酵素を利用して、分裂を抑え込もうとする薬剤です。この酵素は量の多少はあっても正常細胞にも含まれているので副作用は避けられないことになります。
商品名「ゼローダ」「ジェムザール」「TS-1」など

植物アルカロイドはDNA合成に作用することで、細胞の増殖を阻害します。細胞抑制の機序としては、「トポイソメラーゼ阻害」と「微小管阻害」の二つに分けられます。 植物成分の中には強い毒性を示すものがあり、この強い毒性を応用したものです。DNAを阻害するので正常細胞にも影響があります。
商品名「タキソール」「タキソテール」「アブラキサン」など

シスプラチン(白金・プラチナ製剤)が多くの医療施設で使用されています。 正常細胞より分裂する速度が速いがん細胞の2本のDNA鎖の合成を阻害しますので、がん細胞は増殖することができません。進行がんに対する併用化学療法の中心的役割を担っています。また術前化学療法、術後の再発防止のために使われています。

他の抗がん剤との併用により、すぐれた腫瘍縮小効果がみられますが、特に腎機能障害など副作用が強く尿の量を多くして腎毒性を軽減する必要あります。

特定の分子に作用する分子標的治療薬が開発されました。分子標的治療薬は、抗体と低分子化合物の2種類があります。 分子標的治療薬は、がん細胞の増殖、浸潤、転移などの情報伝達(がん細胞の特有の分子)に焦点を絞って開発された薬剤ですが、抗がん剤とは全くタイプが異なる副作用が出現することも報告されています。

化学療法(抗がん剤、分子標的薬)で腫瘍が縮小して、副作用を管理しながら投与すると劇的な効果もみられます。 商品名「タルセバ」「イレッサ」「ハーセプチン」血管新生阻害薬の「アバスチン」など

化学療法のメリットとデメリットのバランスを理解しましょう

標準的治療で使われている抗がん剤、分子標的薬は多くの方が治療しています。 固形がんの場合、腫瘍縮小効果はありますが、その後がん細胞が変異して増大してくる場合もあります。

がん細胞の多様性と耐性があるからです。化学療法(抗がん剤、分子標的薬)よって副作用は必ずおこります。QOL(生活の質)を著しくそこなうこともあります。

抗がん剤と聞くと副作用が強いなどのイメージから不安になってしまう方もいらっしゃると思います。がん細胞を「死滅」させるという言葉が先行しているかもしれません。

化学療法は腫瘍縮小効果、微小ながん細胞を死滅させられるなどのメリットがある一方で、重い副作用が起こる可能性や、正常細胞のDNAに作用して正常細胞が、がん化する2次発がんの可能性などのデメリットもあります。

様々な起こりえる副作用の可能性についてと主治医よく相談して、納得したうえで治療を受けるかどうか、また止めるタイミングを選択することも大切です。副作用があるとはいえ、主作用のおかげで利益を得ている多くの患者さんがいることも事実です。

免疫チェックポイント阻害薬

がん細胞は、本来体に備わっている免疫細胞(T細胞)からの作用を逃れるために、PD-L1というタンパク質を出し、 これが免疫細胞のPD-1に結合すると、免疫細胞の働きが抑制されがん細胞は増殖します。

がん細胞が出す免疫抑制物質を阻害して免疫力を高める薬剤です。

抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体は対の関係にありリンパ球のキラーT細胞を抑制もしくは停止させる共同抑制因子です。 これによりがん細胞は免疫細胞からの作用から逃れて増殖します。

作用機序は抗PD-1抗体は免疫細胞のPD-1と結合し、PD-L1との結合を阻害し、抗PD-L1抗体は、がん細胞が出すPD-L1に結合して、PD-1との結合を阻害してがん細胞の増殖を抑えます。

悪性黒色腫と非小細胞肺がん、一部の腎がんに適応となっていますが今後適応が広がりそうです。問題は、どんな人のがんに効果があるのか、事前に効果が予測できないなど指標がないことです。 PD-1の発現量を調べるなどの「診断薬」の開発も必要です。効果がある人と効果かない人の何が違うのか、決定的な違いはわからないからです。

対象になった患者さんの奏功率は20%くらいです。薬剤が高額ということもあり現在では第一選択として使用することはできません。また副作用に関して予測不能な部分もあります。

臨床試験では1次治療として使える可能性はありますが、ガイドラインの基本2次治療からです。今までとはタイプが異なる副作用が出現することもあり、今後は免疫療法薬との併用の可能性を探っています。
商品名「ヤーボイ」「オプジーボ」「キイトルーダ」など

がん治療 最新の放射線治療

がん治療 最新の放射線治療放射線治療も、電子線、陽子線、重粒子線などさまざまな種類が登場し、 正常な細胞のDNAをできる限り傷つけず、さまざまな角度からがん細胞にだけ放射線を照射することが可能になってきました。

がん細胞が分裂して増殖するときに必要なDNAに作用して、がん細胞の増殖を止めます。

臓器を温存することが可能です。 照射方法も分割照射治療、定位放射線治療などがあります。

がんの治療に使われている放射線の種類には、X線、γ(ガンマ)線などがあります。このほか治験段階ですが、陽子線や重粒子線による治療が一部の施設で行われています。

定位放射線治療の登場により、最近は根治を目的として使われることも多くなっています。
患者さんの年齢、体力、臓器の温存など種々の要因で、手術より放射線療法を第1選択にしたほうがよいこともあります。

定位放射線治療とは、がん病巣をピンポイントで照射する放射線治療です。

従来の放射線は、一方向からしか照射できなかったのですが、定位放射線では多方向から照射できます。

ピンポイント治療が可能になったのは、がんの脳転移が最初でした。コバルト60線源を用いたガンマナイフです。

従来は1回で2グレイで20~25回合計線量40~50グレイで治療していましたが、1回20~25グレイで1回で治療するという画期的な治療法です。その後、通常の放射線治療機器でもピンポイント治療が可能になりました。

肺がんでは1回の線量は8~12グレイで合計線量50~60グレイで治療します。放射線治療では臓器ごとに照射できる線量が決められています。例えば脳は45~75グレイ、肝臓は30~55グレイですが、概ねがん治療においては、一つの部位で50~60グレイが限度量となっています。

これ以上の線量は正常細胞にも副作用がおこります。照射する範囲を広くすると肺では放射性肺炎、腹部では吐き気、下痢が起こってきます。副作用を治す決定的な治療法はありません。

しかし適用線量で治療することは局所治療ですから比較的副作用の少ない治療法です。

1グレイというのは、1キロあたり1ジュールのエネルギーを受けたことを表します。

放射線治療機器とCTシミュレーターなど高度な治療計画装置の進歩により、がん以外の周囲の被曝線量を最低限に抑えられるようになってきました。

放射線治療技術は今や、がんを多方向からミリ単位の精度で照射できるほど向上しました。トモセラピー、ノバリス、四次元ピンポイント照射で、今まで照射できなかった部位にまで精密に放射線を照射できるほど向上しました。

自在に3次元に照射する強度変調放射線治療も全ての部位ではありませんが保険適用になっています。

同時放射線化学療法

放射線治療に抗がん剤、分子標的薬を併用する治療を同時放射線化学療法といいます。がんが発生した部位にもよりますが、同時放射線化学療法の有用性が、複数の大規模な臨床試験で示されました。日本では2000年以降この治療法が導入されました。術前、術後にもおこなわれています。

がん治療をする放射線治療医の不足が問題

放射線治療を専門的に行なう放射線治療医は、全国に1,000名弱しかいません。放射線腫瘍認定医は500人くらいです。また放射線治療医は放射線診断を兼任している事が多く、放射線治療医が不足している状況です。国内には放射線治療施設が750ほどありますが、そのうちの50%は常勤の放射線治療医を確保していません。

放射線治療医の育成については「がん対策推進基本計画」に盛り込まれています。

日本は、CTやMRIと言った放射線診断機器(高額医療機器)の設置台数が、多いことが知られています。
放射線によって診断をおこなうことに関しては世界的にみてもトップレベルの水準ですが、放射線治療に関しては、トップレベルとは言えません。

また、放射線治療を行える医療機関が少なく、放射線治療を望む多くのがん患者さんを受け入れられないのが実情です。

治療が開始されるまでの待ち時間が長くなる事も珍しくありません。照射は1回10~15分ほどで済みますが、放射線1台で1日50~60人ほどの患者さんを治療するのが限界です。

今後もがん治療の柱として期待されている放射線治療ですが、実施できる医療施設が少なくてはどうしようもありません。理想的な環境で、重粒子線や陽子線治療と同じく最新の放射線治療を受けることは時間がかかるかもしれません。

これからのがん治療

手術治療・抗がん剤治療・放射線治療の良いところを組みあわせて治療することを集学的治療といいます。

進化を続ける治療法はリスクを知った上で主治医を信頼し、治療を進めるのが悔いのない治療の実現につながります。 肝心なのは、自分の病状に適した治療法を主治医が使い慣れているかどうかです。
三大治療も経験の豊富な専門医が行うほど各治療法は有効になるので、医師の得意分野かどうかを見極めましょう。

医療業界では統計的な医療に基づいた科学的根拠(エビデンス)、オーダーメイド医療という言葉も流行語になっているくらいですから患者さんの体への負担が少なく効果も高い治療法が選択が出来るようになってきました。

しかし残念ながら現在ではがんは二人に一人が罹り、昭和56年に脳卒中にかわり死因の第一位になりました。

今後さらにがんによる死亡者がますます増加すると確実に予想され、がんは最も身近な病気になってきました。

以前なら平均寿命が延びて高齢化が進んだという言葉で説明がつきましたが、一部を除いて各部位のがんは若年層においても増加しています。

先端医療とか新薬の開発で不治の病ではなくなってきたと言葉の上では確かにそうなのですが、現状は深刻です。診断・治療レベルが上がってきているのにもかかわらずがんは罹患率、死亡率ともに増加傾向にあり、平成十九年四月一日からがん対策基本法が施行されましたが、今後さらにがんによる死亡者がますます増加すると確実に予想されます。

それぞれの治療にも利点も欠点もあります。手術、化学療法、放射線療法を上手く利用して、決して医師任せだけではなく自分の病気は自分で考えて、治す気力が大切だと思っています。医学が発展しても日本ではがんの罹患率、死亡率は増えている現状があるからです。

受ける治療法に確信を持つためにも「セカンドオピニオン」を受けることはプラスになります。 主治医や治療に対して信頼の置ける環境で、前向きに治療を向き合うことが大切です。

末期がんでもがんは治る可能性があります。
がん治療の先進国アメリカでは1995年頃よりがんの罹患率、死亡率ともにゆるやかではありますが減少しつつあるという事実があります。

日本とアメリカとの間にどのような差があるのでしょうか。アメリカでは20年以上前から医学関係者をはじめ、多くの分野の研究者の検討の結果、手術・抗がん剤・放射線だけでは末期ガンの治療は不十分であることがわかってきました。このことは日本では一般的にあまり知られていません。

進行がんの患者さんに対する治療の目指すべきは「がんとの共存」だと感じています。今までの治療は、拡大手術をはじめ「がんを根絶させる」ことを求めて開拓されてきました。

早期がんに対しては「がんの根絶」は実現できていますが、どんな最先端医療も進行がんや難治性がんの場合には期待された結果は得られていません。

最終的には治療効果よりも健康被害が大きくなってしまう化学療法にあくまで固執するのではなく、がんとの共存を目指した治療法を確立できたらいいと思います。

たとえ進行がんであっても、生活習慣病と同様、病状をコントロールしながら生活の質を高く保っていくことに主眼を置く。これからのがん治療の目指すところはそのような形かもしれません。腫瘍の縮小だけが目的ではなく延命効果やQOLが得られるならば、その時々の状況で考えてほしいと思います。

がん治療セカンドオピニオンサポートセンターではこのことも含めてお伝えします。