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がん治療の現状(外科療法)現在のがん治療の柱は、手術と化学療法と放射線療法です。これらの良いところを組み合せて治療することを集学的治療ともいいます。

がん診療連携拠点病院の指定要件として、全ての患者さんが対象になるわけではありませんがキャンサーボードの設置及び定期的開催が位置づけられています。

キャンサーボードをとり入れている総合病院などでは一人の患者さんを外科医、内科医、放射線科医(放射線治療だけではなく画像診断も含めて)或いは病理の専門医など、各科、「癌取扱い規約」のかきねをこえて多数の専門医で治療方針が決定されます。

【目次】
がん治療の現状(外科療法)
進行がん再発がんは標準治療だけでは治癒はしない
治療の有用性と限界を知りましょう
がん自由診療
がん治療 手術
拡大手術から縮小手術になってきましたが
ひとすじに手術映像を究める!

しかし、多くの場合各臓器の癌取扱い規約(ガイドライン)に沿って標準治療を主治医が中心的に行う場合が多いのが現状です。

「癌取扱い規約」は、がんの進行具合の評価するための基準を示し、治療法の選択や治療効果を評価します。同じ臓器のがんでも細胞 レベルでは多種多様であり、その種類が治療法の選択にも影響するので、 病理医が、どんな性質の癌なのかを組織や細胞の形などから分類します。

「取扱い規約」に従うことで、共通の尺度での診断や治療が可能となるわけです。各臓器別の専門学会で数年に一度見直しされて改正されます。

2020年11月に国立がん研究センターなどの2004~07年にがんと診断された約9万4千人の10年生存率が58・3%で前回の調査より数%の改善していると発表されました。どこの医療機関でも標準的な治療が普及した恩恵だと思いますが、難治性のすい臓がん、肝臓がんがなどは10年前とほとんど変化はありません。

進行がん、再発がんは標準治療だけでは治癒はしない

「原発巣」は、手術や集学的治療の進歩で、かなり治療可能になりました。原発巣が原因で死ぬことは少なくなりました。 転移したがんを治したりする方法が見つかれば、がんによる死亡は激減します。しかし、転移するメカニズムはとても複雑で難しいことなのです。 がん細胞に遺伝子変異が加わることによって、遠隔転移する能力を獲得するのか、それとももともとのがん細胞に最初から転移する能力があったのか現在の医学では、仮説はありますが、本当のことはわかりません。

証明するのは困難ですので、転移が認められない場合(画像検査でも10mm以下の転移巣を発見することはできませんので、正しくいうと転移巣があっても画像上発見ができない)、手術が選択され原発巣の摘出がおこなわれます。ですが原発巣を摘出しても数年後、再発することも珍しくはありません。術後補助療法としての抗がん剤を投与しますが、それでも再発する場合もあります。放射線療法も予防的効果は未知数です。

治療は固形がんの場合は手術が中心となり完治された方は多数います。ところが手術後、再発してしまった場合は深刻になります。患者さんの命を助けようと懸命に努力している医師、そして闘病生活を送っている患者さんに対しては申し訳ないのですが、多くの人が感じているように極端な言い方をすれば、これらの集学的治療は早期がん・転移しないがん、治るがん以外では限界に来ています。

確かに、腫瘍マーカーやCT、エコー、MRI、PETなどさまざまな検査方法が登場して精度が上がったため、病状の把握が可能になりました。

しかし、進行がんイコール末期がんではありませんが、標準治療だけでは治癒しないという事実を知ってほしいです。

悪性度の高い進行してしまったがんにおいては、どうしようもない状況は10年前、20年前、30年前と比較してもほとんど変わっていません。

手術後に再発をくりかえす、或いは手術が出来ないほど原発巣が隣接臓器まで浸潤していたり、遠隔転移している場合は化学療法オンコロジスト(腫瘍専門内科医)が治療にあたる事が望ましいと思いますが、まだ日本では腫瘍専門内科医の数が少ないのが現状です。

また最近では「分子標的薬」が使用されることも多くなってきましたが、全てのがんではありませんが、がんが進行した場合、これらの治療方法は延命することを期待するに過ぎない現状は長年変わっていません。

「免疫チェックポイント阻害薬」も有用率は約10%と期待値を下回っています。 遺伝子変異に合う薬剤投与ができた患者さんは全体の20%以下です。

国内の医療機関10カ所で免疫治療薬(商品名・オプジーボ)の治験を実施した結果を2020年5月、 米国臨床腫瘍学会特別臨床科学シンポジウムで発表されました。原発巣特定できない原発不明がんは、非常に治療が難しいのですが、 オプジーボの投与により効果があった中央値は12・4カ月で、 原発不明がんで最も一般的な治療法の約2倍の有用性があったとの報告がありました。

制約もありますが、遺伝子パネル検査で、たくさんの遺伝子変異を調べられるようになったので、有効な化学療法療にまでつなげることができる可能性もあります。それでも第一選択に使用する化学療法を専門に扱うオンコロジスト(腫瘍専門内科医)は少ないです。

少数転移(オリゴメタスタシス)
大腸がん以外のがんではガイドライン等で、明確に記されていませんが、がん細胞が広範囲に転移する能力を獲得しておらず、少数個のがん巣の転移のみ存在する状態の患者さんが少数ですが、いるとも考えられています。 多くの種類のがんで認められ、転移しない限局がん、と多発転移する状態の中間的状態の、少数転移(オリゴメタスタシス)と呼ばれています。 しかし、転移病巣に対する切除に対して、その確定診断法は定かになっていません。

最先端治療、新しい化学療法も、最善の治療のことではありません。ランダム化比較試験(多くの手間がかかりますが、治療効果の程度を数字で表すことができます)が行われて、初めて有効性が証明されます。「ランダム」とは日本語で「無作為」と訳します。人為的な操作が入り込まないということを意味しています。一番信頼のおける臨床試験です。 ですが、副作用のことはあまり考慮されていません。何でも延命率優先な気がします。

通常のがん治療の有用性と限界を知りましょう

ほとんどの医者が患者さんに伝えていないことがあります。それは、再発・転移が見つかった時点で、治癒は難しいということです。基本的には完全に治すことはできないんですが、けれど、それをいわずに、「がんが再発しました。でも引き続き治療をしていきましょう」とだけ話しますが、それで患者さんは「治療すれば治るんだ」と期待してしまいなす。

再発・転移が見つかったということは、がんが全身病になっているということで、現在あるどんな治療をしても、残念ながら、完全には治せず、延命の効果しかないんです。

再発・転移がんを完治できないまでも、早く発見して抗がん剤、放射線で叩いた方が、 長生きできるのではないか、そうお考えになるかもしれません。 ところが、いくら早くわかって早期に治療しても延命効果は、みなさんがお考えになっているほどは期待ができません。

再発がんは、どこにできたがんにしろ治療はむずかしくなります。 再発・転移を予防する薬剤、治療法はありません。 検査はわかるだけで治るわけではありません。

それでも、ほとんどの医者が再手術の対象にならない場合、化学療法を第一選択にします。そして体力的に化学療法を続けられなくなるとあるところでいきなり「もう治療法はありません」と精神的にも見放されてしまうのが日本のがん患者さんです。

その時点で緩和ケア医やホスピスを見つけるのも難しいですし、結果、多くの人が難民のようにさまよってしまうことになるのです。 治療法がない患者さんに向き合っていくスキルが日本の医療界にはないのです。

「目標として、いいQOLを保ちながら、共存していきましょうと。」とはいうものの、最終的に自分で身の回りのことができなくなったときのことを想定して、病院で治療を継続するのか、在宅などの緩和ケアがいいのか、患者さんが考える機会が少ないように思えます。

緩和ケアの大切さは以前から指摘されているのに、一向に進みません。身体の痛みをとるだけではなく、がんの進行とともに生じる心のケアも重要です。 遺伝子を含む染色体、解析により、同じ人にできるがんでも進行する過程、転移の部位が変わるうちに原発とは別の遺伝子が発現することがわかってきました。

薬物治療を翻弄するジレンマも出てきました。「遺伝子変異」は今や「多様性」と考えるべきです。 同じ臓器のがんであっても異なる複数の細胞によって構成されています。 これを「がん細胞の不均一性」といいます。 「がん細胞の不均一性」を考慮しなくては、今の画一的な標準治療では十分な効果は期待できないと思います。

生体にダメージを与えないで治療効果を出す本当の意味で個別化された、がん治療が求められています。 ステージが進んで「これ以上治療法がありません」と言われてもあきらめることはありません。 がんの治療方法はひとつではありません。必ず複数の選択肢があると信じます。

がん自由診療

「癌取扱い規約」に重みを置くことをしない医療機関は自由診療です。
統計的な医療に基づいた科学的根拠(エビデンス)、オーダーメイド医療)、日本癌治療学会で作成している臓器別、がん診療ガイドライン(国内の医療者向けに各学会等で作成された、がん診療に関する規約)を無視しての治療は危険です。

「癌取扱い規約」に従って治療しても進行してしまう患者さんもいます。だからといって、保険適応とならない部位にも自由診療では、免疫チェックポイント阻害薬を投与します。免疫療法なども同じです。 これでは長い時間をかけて臨床経験から作成された「癌取扱い規約」の意味がありません。

「画期的」「最先端」などの言葉は「期待される」という面はありますが、実験的な治療に誘導される可能性があります。 このようなオーバーな表現を使った医療情報に患者さんは惑わされ営利目的のトンデモ医療に誘導されてしまう可能性もあります。 誇張された表現を使うサイトを見ると、たいていは、営利目的のクリニックなどにリンクされています。

日本では、未承認治療は、医師の資格があれば、専門領域に関係なく、自由診療として自由に患者さんに投与されているのです。平等に評価されていない治療であっても、自由に行えてしまうということです。

がん治療 手術

限られた部位の治療を「局所療法」といいます。がんの根治療法の主体もこの局所療法で、局所がんをどのように切除、摘出するかが主眼におかれています。低侵襲で、行える手術が増えてきたことは朗報です。

局所療法は手術(外科療法)と放射線療法があります。

固形がんの場合、第1選択は手術です。本当にがんが、局所にしか存在しなければ切除、摘出できれば確実に治るからです。麻酔学の発展により安全に手術することができ、またQOLを考慮した再建法の術式も少しずつ進んできました。

一方、症例にもよりますが、放射線療法では画像上がん巣が見えなくなっても、微小ながん細胞が残っている可能性もありますので、局所療法としては放射線療法より手術の方が優れているということになりますが、 全て手術がよいわけではありません。患者さんの年齢、体力、臓器の温存など種々の要因で、放射線療法を選択したほうがよいこともあります。

放射線療法の技術も格段に進歩を遂げており、手術と同等の効果が期待できる場合もあります。

ただし臓器によって放射線に対する感受性が異なりますので、原発巣がどこのがんかによって違います。

手術すれば、治る可能性があれば、手術適応になります。「がんの根治性」「臓器の機能温存」「治療の安全性」の要素から判断します。

手術を受けると、なにかを犠牲にしなければならない場合も出てきます。患者さんも、医者に、しっかりと、どんな手術でどんな後遺症が残るのかを質問して、自分の意見を伝えることも必要だと思っています。

手術手技も拡大手術から腹腔鏡手術を始めとした縮小手術に向かっています。手術で用いる器機の登場により手術時間も短くなり術後の合併症も少なくなりました。麻酔学の発展も寄与していることも忘れてはいけませんが。

自覚症状がなくても検診などで固形がんでは1センチ以下のがんでも、発見されたら手術が第1選択になります。
術前に全身の検査はするのですが、他に微小ながんの転移が発見されなくてもすでに転移しているかもしれません。

早期と言われているがんでも、手術して病変を切除して、検体の病理検査で切除断端も陰性また所属リンパ節にもがんの転移がなくても、 数年後に再発する場合があります「がん幹細胞」の存在があるからです。

がんが発見されたとき転移するのかしないのか、あるいは手術したことによってすでに転移している微小ながんが増大するのか今の医学ではわかりません。

手術をする前に少し考える時間がほしいと思います。放射線治療を第1選択する可能性もあります。

拡大手術から縮小手術になってきましたが

20年位前まで拡大手術が主流でした。

重要なのは手術の時点でのがん巣の状況が局所疾患か浸潤しているのかなどであって、手術でどこまで切除、摘出するかではなく局所の場合には、がんが広がってない安全なマージンは必要ですが、局所の切除で十分です。

しかし大きく広がっている場合は、たとえ切除、摘出が可能でもがんは既に全身病になっている場合が多く、手術した場合には術後のQOLが著しく低下します。

今はほとんどの医療機関でがんが進行していない場合は縮小手術がおこなわれつつあります。たとえば乳がんであれば15年位前は全摘した症例がほとんどでしたが、腫瘍の大きさや進行度などを考慮して今は温存手術が主流になっています。

胃がんであれば切除あるいは胃全摘した場合、リンパ節の郭清範囲が15年位前は臓器の所属リンパ節の2群(D2)あるいはD3までの拡大手術が行われていました。

今は早期であればそれ以下になっています。またすべての症例で適応可能ではありませんが低侵襲な腹腔鏡下手術もおこなわれています。

拡大手術から縮小手術になってきた背景には手術で用いる医療機器の進歩もありますが、拡大手術でも縮小手術でも手術後の治療成績は変わらないということが実証されたからです。

コントロール臨床試験で調査した結果、乳がんの手術も拡大手術から乳房を温存する縮小手術に変わってきています。

腹腔鏡を体内に入れて行う腹腔鏡下手術や、より正確な手技を可能にした手術支援ロボット『ダヴィンチ』などが登場しました。

しかし腹腔鏡による肝臓切除手術で死亡事故が多発した ケースもありリスクもあります。肝臓・膵臓など実質臓器の切除など、腹腔鏡手術では難しいケースもあります。

部位にもよりますが、腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術の適応になったとしても傷が小さい、入院日数が短いなどの理由だけで選択してほしくないと思います。 高い技術力が必要な手術もあるからです。

ひとすじに手術映像を究める!これが私のモットーです

私は、長年に渡りがん治療の最前線で各領域の医学学会での手術症例の制作に携わってきました。 2,000症例を超える経験からの言葉です。

癌研究会付属病院(現がん研有明病院)などの専門病院、大学病院での多数の実績があります。 中川 健先生(元がん研有明病院院長・現名誉院長)の監修のもと一般向け「がん、治癒への闘い Vol.1 肺癌編 」など多数あります。 がん、治癒への闘い Vol.2 胃癌編 「癌研究会付属病院外科高橋 孝先生監修」、治癒への闘い Vol.3 大腸癌編 「癌研究会付属病院外科高橋 孝先生監修」

東京大学医学部付属病院、がん研有明病院はじめ専門領域の学会からの制作があります。教育用の「手術手技シリーズ」も領域別に多数の制作があります。その過程で多くの各領域の医師と出会い、個人的にも医師の本音での話も聞き、多くの医学学会に参加してがんについての知見を多く得る事ができました。

もちろん今でも大学病院やがんの専門病院での学術映像(手術手技)の制作をしておりますし、医学専門書の資料作成もしております。
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